□SS/過去拍手
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仮装してから塾生たちに「トリックオアトリート」と言ってみた



* * * 一号生の場合 * * *



剣桃太郎「フ……発音がちと良くないぜ。
"Trick or Treat"。――さあ、お前はどちらを選ぶ?
結果は同じかもしれんがな」


富樫源次「あ?何じゃそりゃ。……菓子寄越さねえと悪戯する、だあ?
てめえ、この富樫源次がんな脅しに屈するとでも思ってんのか!何だってどんと受けてやらあ、かかってこいや!
……お、おいこらどこ触ってんだよ」


J「ああ、もうそんな季節か……懐かしいな。チョコレートとチューイングガムがあるが、これでいいだろうか?
それと、……You are so cute.」


虎丸龍次「鳥食わんと立冬……?おかしなかっこうで何を口走っとるんじゃお前は。大丈夫か?
……ほお、菓子かいたずらか、って意味なんか。そんならいま口に入れたばっかの飴があるからこれを、え、いらん?」


伊達臣人(無言で手持ちの菓子をくわえて「食え」とばかりにじっと見つめてくる)


雷電「ま、まさかその掛け声は覇髏盂印……!?貴殿がその荒行に挑むとは……!

《覇髏盂印とは――中略――民明書房刊『世界のお菓子な風習』より》

そういう事ならばこの雷電も共に参ろう。ただ貴殿を見送るなどとても耐えられぬ。
その御身、拙者に守らせてほしい」


飛燕「お菓子を差し上げますから悪戯させていただけないでしょうか。
……は、なんと言えばよいのですかね?
おや、どうして距離を取るんです。ただの疑問ですよ。純粋な、ね?」


月光「すまんが、菓子の類いは持ち合わせていない。
悪戯をするならなるべくお手柔らかに頼む。うっかり反撃してしまうやもしれんからな。
……反撃の内容?秘密だ」



* * * ニ号生の場合 * * *



赤石剛次「ほう、そんな下らねえことで筆頭室まで訪れるなんざいい度胸じゃねえか。
来いよ、菓子よりもっといいモンをくれてやる。おら、さっさと来い。
抵抗したって無駄だ。てめえにはハナから選択肢なんぞ無いんだぜ」


江戸川「菓子……菓子はなあ……赤石さんに見つかると怖いからみんな持っとらんだろうなあ……。
あ、トウモロコシなら焼いてやるぞ。食うか?」



* * * 三号生の場合 * * *



大豪院邪鬼(跪かせて手ずから食べさせてやるも、時折お預けして物欲しそうにする様子や、わざと届かない高さまで持ち上げ「取れ。ただし手は使うな」と命令して必死で飛び付く様子をただただ穏やかに笑いながら眺める)


影慶「そこの引き出しに糖分補給用の氷砂糖がある、欲しければ好きに持っていけ。
……あまりみだりがましい格好で出歩くなよ。……風紀が乱れるからな」


羅刹「お前、肌を出しすぎだ。
そんな格好でうろついて、自分の身に何かあったらどうするつもりだ?
自制心も鍛えているとはいえこんな場所だ、飢えた男がいないわけではない。煽るような真似をするな。
……そうか。わかってくれたなら、いい。
俺の外套を貸してやる、着ていけ。……風邪を引くなよ」


センクウ「ふむ、そうだな……仕上がったばかりの薔薇の砂糖漬けならあるが、食べてみるか?
……ふふ、いい返事だ。ならば口を開けて。首を振っても駄目だ、先輩の言うことは聞くものだぞ。ほら。
ああ……薔薇色に染まるお前の頬も、とても甘そうだな」


卍丸「菓子なんぞあるか阿呆。ねだるなら余所行け。……あーあーぐずるんじゃねえよ、悪戯でも何でも好きにしろ。
ただし、後でどうなっても知らねえぞ。
……俺の悪戯は、小娘にゃちと刺激的だぜ」


独眼鉄「はろうぃんとは何ぞや。とりっくおあとりーととは何ぞや。
……あのなあ、この男塾でメリケンの行事なんぞするかよ。
それになんだその格好は。もう肌寒くなってきてる時期だろ、俺たちはともかくお前はちゃんと着とけ。
女は身体冷やしちゃいけねえって俺の婆ちゃんも言ってたぞ。理由は知らねえが年寄りが言うならそうなんだろ。
さっさとあったけえ格好に着替えて来い、そんで買い出しに付き合え。そうしたらこっそり好きな菓子買ってやるからよ。
……ただし一つだけな!」


蝙翔鬼「何だそのふざけた格好は。蝙蝠のつもりか?
ふん、本物の愛らしさには微塵も及ばんな。南瓜でも被った方がよほど美しく見えるんじゃないか。
……わかりやすく落ち込むなよ面倒くさい。
し……仕方ない、これをくれてやる。……髪留めだ。ヘアピン、というのか?
その……そう、知人に、蝙蝠の形をしていたから土産に買ったと押し付けられたんだ。だが俺が使うわけもないし、こんな日くらいしか使用する機会もないだろうから……ええいうるさいぐだぐだ聞くな、つけてやるから来い!
……そ、そう喜ばなくともいい。ただの安物だ。あ、いや、そう聞いている、という話だ」


男爵ディーノ「ここに5つケーキがあります。お好きなものをひとつお選びください。
なおこの中のひとつには当たりとしてコインが入っており、それを引くと私にキスが出来ます。
……ちなみに選ばないまま帰ろうとすると死穿鳥からのキスが待っておりますので悪しからず。
――おお、お見事!当たりです!
仕方ない、君の幸運にこの唇を捧げましょ……え?他のケーキの中身も見せろ?
……煩い唇はさっさと塞ぎましょうか」



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