□SS/過去拍手
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(センクウ)



「朝から鍛練か?精が出るな、みょうじ」

「あ、センクウ先輩おはようございます!
いやぁ……お恥ずかしい話なんですけど、実は私、お腹のお肉がつまめるくらいあって。
一応塾生の端くれなんだからこれはまずいだろうと運動量を増やしたんです」

「……ほう、そうか……。それで、成果はどうだ?」

「ちょっとだけ。でもこういうのは継続が大事だと思うし、頑張ります」

「うむ、その通りだ。いい心掛けだな」

「まだたいした結果は出せてないですけどね……。
じゃあ私、走り込みに行ってきます」

「気を付けてな。無理はしないように」

「はい!ありがとうございます!」

「………………………………ふぅ」










「――センクウ、この間の遠征のことだがよ……うぉっ」

「卍丸。人の部屋に入るときはノックをしろといつも言っているだろうが」

「いやそんなことより、お前何を始めやがったんだ」

「……なあ卍丸、お前、女性の好みというものはあるか?」

「はっ?と、唐突に何だよ。
……俺ぁ出るとこ出てて締まるとこ締まってる女がいいが」

「俺はな……女性にはつい、色々な意味で柔らかさを求めてしまうことが多いんだ。
性格、物腰、ついでに頬や二の腕も」

「お、おう……」

「無論、どんな女性にもその女性にしかない魅力というものが沢山ある。
だが己が今持っている魅力のひとつを理解しえないまま捨ててしまおうとするのはあまりにも哀しく、そして勿体無いとは思わないか」

「……あのよ、センクウ」

「何か異論でもあるか?」

「特に異論も興味もねえがよ……。

その論説と、てめえが作ってるしこたま糖分ぶちこんでそうな手製のケーキは何か関係してんのか?」

「いいや?
これはとある努力家な娘へのちょっとした差し入れであって、添加物も邪な感情も一切含まれてはいないぞ」







「――――……どうしてだろう。男塾に戻ってはいけないような気がする……」



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