□少女の決意は穏やかに
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――――けれどもう、隣に不気味で意地悪な蝙蝠使いは座らない。

心優しいけれど不器用な大男は、目の前に居ない。

奇妙な魔術師にからかわれることも、もう、ないのだ。





「………………。

……行こう」

ふ、と小さく息を吐いた。いつの間にか固く握りしめていた拳の力を、ゆっくり抜いていく。

いつまでも立ち止まっていては、あの世から先輩方に怒鳴られてしまう。
この期に及んで心配をかけるのだけは、御免だから。

なまえはパイプ椅子から勢いよく立ち上がり、扉を開く。
窓も扉も開け放したまま、なまえはふらふらと緩い足取りで帰り道を歩き出した。

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「――私、三号になったら、鎮守の番人になるんだよ」



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