□プレゼントは下心
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世の女の子は偉大だと、私は外気に晒されて落ち着かない素脚のまま思った。





プレゼントは下心






男塾を卒業して数カ月、自らを男だと名乗ることもそのように振る舞うことも無くなった。

まあ、塾生時代から大して男だという意識を強く心掛けていたわけではないから、その変化なんて些細なものかもしれないけれど。

しかし『名義上は男』と『名実ともに女になる』というのは、なかなかどうして大きな差である。

特に、学ランを脱ぐということは一大事だ。
何故ならば、これから何を着てよいものなのか全く分からなくなるからである。

そもそも女性物の服なんて持っていないばかりか、学ラン以外はTシャツとスパッツしかないという体たらく。これはまずい。服を買いに行く服がないという言葉はきっと、私のために用意された言葉だ。

――というようなことを、塾生時代から世話になっていた先輩にご飯を奢ってもらいながら言ってみた。

そうしたら、彼はいつも通りにやにや笑いながら「私に任せなさい」と言って。

その数日後、我が家に郵送で送られてきたのが、これである。

「……スースーする」

胸に巻いていたサラシや、ごわついた学ラン。
肌に慣れたあれらの感覚とは正反対の、頼りなく繊細な生地。

紺地に白いドット柄の膝下ワンピース、しかも至る所にレース付き。ご丁寧にショールまで付いている。
付属品として、純白のストッキングと艶々したエナメルのベルト靴もしっかり備えられていた。

……この一式は、あの人の趣味なのだろうか。
だとしたら少女趣味にも程がある。
こんなお人形用的な愛らしさで満ちた服をまとって街に出ろというのか。どんな羞恥プレイだそれは。

姿見の中にいる自分が、服に着られているように見えて、たまらなく恥ずかしい。

「………むう。ディーノ先輩も、とんだ無茶ぶりをなさる方だ」

「何をおっしゃる。とてもよくお似合いですよ」

「でもさすがにこれは、私にはちょっとかわいらしすぎますよ」

「貴女が可愛らしすぎるので無問題です」

「まったく、ディーノ先輩はいつもそんなこと…を………





………………えっ?」



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