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□偽りなどないから
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〜久しぶりだな〜
この言葉を君に言いたかったのに…。




「なぜ…助けた…。そのままほおっておけば…」
「おまえ、指輪戦が終ってから、そればっか言ってるぜ?」
俺は眼の前の男に苦笑いを浮かべながら言った。
「なぁ、何が不満なんだよ。折角助かったのに…。」
ヴァリアーの大敗後、処罰は本部で決めるということでなんとか一命を取り留めた9代目はイタリアに帰って行った。
それとともに、ヴァリアーの幹部達も監視付きでアジトに戻って行った。
…この1人を除いて。
「あたりまえだぁ。俺はあの闘いで死んだはずだった。死ぬべきだったからなぁ。」
「死ぬべき奴なんていないぜ。」
「はっ。甘えん坊のお坊ちゃんが考えることだな。」
スクアーロが苦しそうに笑う。
「俺等に必要なのは強さだ。弱者は負ける。負けたら死ぬ。これはどんなに時が経とうと変わらない。俺は小僧に負けたんだぁ。なのに…なぜ生きてんだ?決まってるだろ、てめぇが助けたからだぁ。」
「でも…俺は助けたかったんだ。」
「知るか。てめぇの勝手だろぉ。俺は…死ぬべきなんだぁ。」
ため息まじりにまた同じことを言う。
「……でもまぁ、飯ぐらいは食ってくれよ。」
「考えとくぜぇ。」
食事に手をつけなくなったのは5日前。
食欲がないらしいが…。
たぶんストレスのせいだろう。
今回はモニター越だったが、2度も自分が守り続けてきた主が氷漬けにされたのだから。
自分を責め続けているのだろうか。
「じゃぁ俺が食べさせてやるよ!!」
「…はぁ?」
今まで真剣だった奴が素っ頓狂な声をあげた。
「おまえ…何言ってんだぁ?」
「ほら、おまえが熱出した時みたいな感じでさ!」
「…//////!!!だ、誰がやるかぁ!!!」
「いいじゃん!ほら、あーんしろよ♪」
「う゛お゛ぉ゛ぉおい!!!!!!」
病室にスクアーロの怒声が響き渡る。
「すまねぇすまねぇ…。」
こんな感じでいつも失敗してるけど、たまには甘えて欲しいんだ。
嘘じゃないぜ?
 

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