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□惚れるじゃねぇかぁ…。
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ピピピピ…
耳障りな音が鳴り響く。
「……。」
朝に弱い俺は、のっそりとベッドから出た。
そのまま鳴りっぱなしの眼覚まし時計を見つめながらふと、思った。

(…今日はオフのはずだぁ。)

おかしい。
何もすることがないのにこんなに早く起きる理由が見当たらない。
とりあえず2度寝を試みようとした時、枕元のカレンダーが眼に入った。
日付に赤丸がうってある。
隣には9:00と書いてある。
今日の日付だ。
なんだったかな?と思い返して、俺は青ざめた。
それは数日前に楽しみにしながら忘れないようにと自分が書いたものだ。
「や…やべぇえ゛ぇえ゛ぇ゛!!!」
叫び声とともに俺は行動を開始した。

「遅ぇ。」
待ち合わせの場所に行った瞬間、脳天に鉄拳が落ちた。
「う゛…う゛お゛ぉ゛…。」
「何分待たせやがる。」
「す、すまねぇ…。」
うずくまっている俺にもう1発鉄拳をくらわすと、ボスはさっさと歩き出した。
「すまねぇって!!」
「罰として昼食はおごれ。」
ボスは俺を呆れた眼で見てから言った。
普通そういうのは彼氏が払うもんじゃねぇかぁ??
今回は俺が遅れたのだからいいのだが…。
「んで、どこ行くんだぁ??」
「…海。」
…海?
へぇ〜。ボスにしちゃぁロマンチックじゃねぇかぁ!!
そう思ったのを悟ってか、また殴られた。

冬の海はいいものだ。
少し寒くて人の気配はないが、なかなか趣がある。
「カス…こっちこい。」
突然ボスに呼ばれた。
何かと思い、近付くと。
「…///!?」
「はっ。何照れてやがる。こうして欲しかったんだろ?」
近付いた瞬間に前から抱きしめられた。
「な、なんで…///」
「てめぇの考えてることなんてすぐわかるぜ。」
ボスが俺の髪をなでながら言う。
「そしててめぇの望むものなら、俺は何だってやれる。もっと貪欲に求めろ。その度にみたしてやるから。」
ボスの腕の中で俺は顔をさらに赤らめた。
(そんなこと言ったら、何でも求めちまうだろぉ…///)
でも、そんなことを言ってくれるこの人に惚れたのだ。
海風は冷たく、顔にしみるが、ボスの体温が心地よかった。
 

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