スレイヤーズ

□実力
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遺跡の中は真っ暗。
落とし穴や岩が転がってきたり、槍が飛んできたり様々な罠があった。
私はそれを軽々しく避ける。

「どこに異世界黙示録(クレアバイブル)の写本があるのかな?」
真っ暗のまま歩き続ける。
別に明かりはいらないからね。

何やら人の気配……
それを証拠に壁の奥の方から密かに、話声がする。

どうやら隠し扉になってるようだ。
まっ。私には関係ないけどね。
私はそっと壁をすり抜ける。

壁を抜けると、そこは開けた場所になっていてた。
たくさんの人達が何かの像に祈りを捧げている。
もしかしてヤバメの宗教とか!?

「何奴だ!?どっら入ってきた?」
フードを被った信者に見つかった。
げっ。姿消すの忘れてた。

「異界黙示録(クレアバイブル)の写本があると聞いたんですけど」
「何!?なぜそれを!?」
ばか正直に言ってしまった私は、睨まれた。
向こうも暴露してる。
「捕まえろ!」
幹部らしき人が叫んだ。

やばっ。
この場合はどうしたら?


「写本のことをどこで聞いた?」
考えていた私は、呆気なく捕まってしまったりする……
「どこだっけ?噂できいたんだけどなー」
とりあえずとぼける私。

「ふざけるな!この暗黒教を知ってのことか」
男が怒鳴る。
ぷー。暗黒教とかウケる。

私が笑い転げていると。
「何笑ってやがる!我々は人々の悲鳴を悪魔に捧げているんだ」
なるほど。カルト宗教団体ね……


「異世界黙示録(クレアバイブル)の写本はやっぱりここにあるんだね。ってことで頂戴」
私は微笑んだ。
「なっ……この状況がわかっているのか?」
あれ〜。どうやらもっと怒らせてしまったようだ。

「まあまあ、お嬢さん。ふざけるのもいい加減にしなさい。他に仲間はいるんでしょう?」
さっきの男をなだめ、割ってしゃべり出す神父みたいな男。
カルト宗教団体だから神父じゃないか。

「ゲリー教祖様!」
次々と人々が頭を下げる。
なるほど。こいつが教祖ねぇ。
「お嬢さん一人であの罠を抜け出たわけないでしょう。本当のこと言った方が身のためですよ。痛い目合いたくないでしょう?」
ナイフを私の首に近づけた。

「仲間はいないよ」
遺跡に入ったのは私一人だし。
それに動じず答えた。

「そうですか一人ですか……始末が簡単そうですね。死んでもらいましょう」
「生け贄だ」
「殺せ」
と言う声が歓声と鳴ってこだす。

「噂を流すとあなたみたいにいいカモが引っかかるんですよ。生け贄になりなさい

ゲリー教祖が不気味に笑う。
噂って本当に流してたんだ。

ナイフが私の首を思いっきり、ひっかいた。
すると血が吹き出して……と本来の人間ならばなるが……私は魔族だ。
何も起こらない。
血すら出ない。

「なっ!?なぜだ!!」
驚愕する信者たち。
ゲリー教祖は腰を抜かしている。


「こんな物じゃあ死なないよ。う〜ん。どうしても異世界黙示録(クレアバイブル)の写本の在処が知りたいからな……なら」
私は行動した。
周りの信者たちが悲鳴をあげる。
私の鎌の餌食になり、次々と倒れていった。

血の海、
その光景をただ一人、ゲリー教祖は見ていたー
自分は本当の悪魔を呼んでしまったんじゃないかと後悔していた。


「教祖様、死にたくなかったら異界黙示録(クレアバイブル)のある場所教えて」
円満の笑みで声をかける。
「ヒィ……!」
教祖は涙を浮かべていた。


「大丈夫。教えてくれたら殺さないから」
「………」
頭を上下に振って、教祖はなんかの像の元へ。
そして、その中から箱が……

「……この中だ」
恐る恐る私に教祖は手渡した。
そして、いちもくさんに逃げ出した。

まっ。いいか。
私は箱を開けた。
すると、そこには、

1、毎日、祈るべし
2、ゲリー教祖を敬うべし
3、黒い物をきるべし
4、教えを守るべし



と書かれていた紙が。
これって異世界黙示録(クレアバイブル)の写本ではないよね……
思いっきり暗黒宗教の家訓だし……


ゴオォォォォ!!
すさまじい音とともに地震が起きる。


「はははは。ここはもうすぐ崩れる。この遺跡とともに死ね」
スピーカーからゲリー教祖の声と高笑いが。


あんな家訓みたいな物を異世界黙示録(クレアバイブル)の写本と偽って、噂を流して。
だいたいこの情報を持ってきたのは、ゼロスだし……
なんかイライラしてきた。
あー、もう!!
私は空間移動をした。

「……!?どうやって?」
ゲリー教祖の目の前に私は現れた。
目を白黒している。
「火炎球(ファイヤー・ボール)」
ゲリー教祖は攻撃してくる。
それを私は軽くかわす。

「あんなの者をよく異界黙示録(クレアバイブル)の写本っていえたものだよね。しかも私もろとも遺跡を壊そうとするし、あっ、もう遺跡は壊れちゃったか」
「すっ、すまない。そんなつもりでは……命だけは……」
顔中ぐちゃぐちゃに泣きながら、謝り続けるゲリー教祖。


「どうしようかな〜」
私がからかっていると、

次の瞬間、
ゲリー教祖は血を流して倒れたのだった。
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