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□解ってないのは、
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 頭を砕いても死んでしまう
 首を絞めても死んでしまう
 胸を刺しても死んでしまう
 腹をもいでも死んでしまう

 僕はそんな君が、

 *

「宗像……せん…ぱッ」
 
 抗議の為に開いた口は、その日何度目か分からないキスで塞がれてしまった。
 口内に問答無用で侵入してくる舌は反論を許さない、とでも言うように俺の舌に絡みついてくる。
 頭のなかでやけに大きく響く甘い水音。
 身体の何処かが浸食されていくかの様な妙な感覚。そして、

「んっ……ふ、ぁ」

 舌が絡み合う度に自分の口から洩れる甘い声に、俺自身全く理解が追い付いていなかった。
 全身が弛緩してしまったかのように力が入らない。
 何故、どうして俺は宗像先輩とこんな状況に陥っているのか。
 俺は霞がかかったような思考回路を必死に動かす。

 *
 
 時計台地下の視察の後、俺と宗像先輩の距離は急速に縮まった。
 と言うのも、時計台地下が一時封鎖になった数週間後、目安箱へ投書された案件
≪立ち入り禁止の時計台地下二階を生徒達がたまり場にして困っています≫
 ――これがそもそもの始まりだった。

「と、言う訳で善吉、工事業者が着任するまでの期間、放課後時計台地下の見張りをしてくれ」

 めだかちゃんに命ずられるまま、地下二階ビオトープに足を運んだ俺を迎えたのが、宗像先輩だった。
 視察の時、初めてまみえた時と同じく植物に水をやっているその光景。
 宗像先輩はドアを開ける前から俺がこちらへ向かってくることに気づいていたらしく、ふ、とその細面に笑みを浮かべた。

「やぁ。人吉くん。やっぱり君が来ると思ったよ」
「ってえっと……もしかして依頼主って」
「うん。僕だよ」


 


 
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