四天小説

□Doux Bonheur
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「・・・あっ、雨止んできたんとちゃう?」
「えっ・・・・」

雨の日にしか、咲く事のない、
淡く、儚く、甘い華。

この華は、私にたくさんの幸せをくれるの。


だから、お願い。止まないで―


「あっ・・・」
「お、やっと雨止んだな!!」


雨、止んじゃった・・・

「由乃・・・?どないしたん?」

「雨・・・止んじゃった・・・」

カサという名の華は萎み、
蔵の手に悲しく吊り下がる。

必然的に離れる距離は、
より一層、私を悲しくさせるんだ―

「雨、止んでほしくなかったん?」
「うん・・・・。」

そう言いながら、小さく首を縦に振ると、
蔵は私に背を向け、歩き出す。


「そうか?俺は嬉しいけどなぁ・・・」
「えっ・・・?」

「やって・・・・」

そう言いながら、再び私の方に向き直る蔵は、
空いているいる手を差し出し立ち止まる。


「・・・やっと手、繋げるやん?」





Doux Bonheur
(そう言って微笑む君は、)
(カサなんかよりも何千倍も、)
(甘い、幸せをくれたんだ)





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