06/12の日記

22:38
鉢竹
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忍たま長屋の部屋で話しをしているときだった。
丁度雷蔵が席を外していて、授業の内容や委員会、私事などの他愛ない話を竹谷としていたときだ。
ふと、何かに気付いたように竹谷が三郎に手を伸ばしてきたのは。
少し前屈みになった竹谷と顔の距離が近付き、その突然の事に三郎の心臓は高鳴った。

「ハ、ハチ…?」
「んー…。ちょっと、動くなよ」

伸ばされた手は三郎の顔を横切り後ろに括りつけてある雷蔵そっくりの髪へと触れた。
さわさわと何度か触れられて、少しだけ引っ張られる感じがする。
その竹谷の行動の理由が分からなくて近い位置にある竹谷の瞳に訴えかけると、その時初めて二人の距離に気付いたように顔を驚かせた。

「あっ、悪ぃ!髪が跳ねてたから、それだと雷蔵とちょっと雰囲気が変わるっつーか!三郎って分かるかなって!!」

慌てて弁解を口にする竹谷は三郎に触れていた手をぱっと放して離れていくが、今度はその手を三郎が取って自身の方へ引き寄せた。
うわっ、と声を上げて驚いた顔が近付いてその体を抱き締める。
竹谷からの抵抗がある前に、抱き締めた体を床へと組敷いた。
さっき以上の驚きに目を見張る竹谷を覗き込んで、三郎は自分が予想以上に余裕がなかった事を思い知った。

「おい!三郎っ!!」
「ハチ。 私、言ったよな?」
「な、何がだよ…?」

身を固くして三郎の言葉を待つ竹谷の顔はやや引き攣っている。
目を忙しなく動かして何とかこの状況を打破しようと考えていることが容易に読み取れるが、三郎は更に竹谷へと体重を掛けた。
びくりと震えた下にある体が熱を持ち始め、どんな顔をしているのかと様子を窺えば、首まで真っ赤にした竹谷がいた。
どうやら前に自分が言った言葉を思い出したらしい。

「私は、お前が、好きだから。余り煽るような行動をするな。って言ったよな?」
「ぅ…あ…っ」

言い聞かせるように大切なところをひとつひとつ区切ってその耳元で囁けば、竹谷の喉からは呻くような喘ぐような声が聞こえる。
覗う様に竹谷の瞳が三郎を見て来て、視線のあったそれににこりと雷蔵のような優しい笑みを乗せる。
それとは正反対に、ごくりと動く竹谷の喉に獰猛な獣のように噛みついた。



決壊



end

鉢→(←)竹。
多分竹谷君は、触りたいなーと思って三郎に触ったんだろうと思います。無自覚に。
そしてそれが返事待ちの三郎を煽ったのでしょう。無自覚に。

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