06/06の日記
22:56
鉢竹
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「何してるんだ」
「げっ!三郎!?」
声に驚き竹谷が振り向くと、腕を組んだ三郎が戸口に立っていて、それに声を上げれば顔を顰められた。
作業を中断してそれらを隠そうと手を動かしたが、物に触る前に近づいてきた三郎に手を取られてしまった。
「怪我したのか…」
「……ちょっとだけな」
取られた手と反対の手を三郎に見えないように背中へと隠したが、それを見咎めるように三郎に睨まれた。
何でこいつはいつも俺にとって間の悪い時に来るのだと、竹谷は溜め息を吐いて隠していた手を三郎の前に晒した。
「…膿んでるな。どれくらい放置してた」
「…………」
「ハチ!」
「…一週間……」
強く睨まれて、しぶしぶと竹谷は口を開いた。
一週間前に授業でも委員会でもないところでした怪我は、竹谷が思っていたよりも長引いた。
怪我をしたところに菌が入ってしまったのか、腫れて膿んでしまった。
流石に不味いと思ったので自分で治療をしていたら三郎に見つかったのだ。
「医務室行くぞ」
「いや…そこまでしなくても…!」
「二度とその腕が使い物にならなくなってもいいのか!」
怒った三郎に手を引かれて無理矢理立たされる。
そのまま医務室に行けば、何でもっと早く来なかったのだと新野先生と伊作に怒られてしまった。
治療と薬を受け取って医務室を出ると三郎が待っていた。
「もう平気だから戻っていいぞ三郎」
「……そうか」
包帯の巻かれた腕を見せて笑えば、三郎は腕を確認して長屋へと戻っていく。
その背中に竹谷は声を掛けた。
「三郎!ありがとな!」
「次からはもっと早く言え」
立ち止また三郎から声だけが返って来た。
足を再び進めていく背中を見つめながら竹谷は笑みを浮かべた。
end
鉢(→←)竹ですね。
互いに気付いてないけど気にしている的な。
じつは考えているシリーズの前哨とかと考えていました。
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