現パロ

□顔合わせ
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顔合わせ
鉢竹 兄弟






「じゃあ先輩達は雷蔵兄と三郎兄の生徒会の先輩ってこと?」

「それで、今日は学校行事の打ち合わせの為に八左ヱ門の家に集まったんですね」

「ちょっと待て勘右衛門。私達は生徒会役員だなんて納得してないんだからな!」

「まあまあ三郎、僕はもう生徒会でもいいと思うよ?」

「雷蔵ぉ!!」


あっという間に打ち解けた勘右衛門は先輩達に興味津津と言った感じで質問攻めにしている。
人見知りの激しい兵助でさえ、少しの間で馴染んでしまったんだから先輩達ってすごいと思う。
そんな感想を持って俺はリビングに居る人たちを見渡した。
留三郎先輩の膝の上で。


「八左ヱ門〜、お前も友達の二人も可愛いなぁ」

「あ、ありがとうございます…。あの、先輩達の邪魔にならないよう俺ら部屋に行くけど?」

ぎゅうっと抱きしめてくる留三郎先輩を見上げると、すんごい笑顔を向けられた。
留三郎先輩はいつも俺を可愛がってくれるけど、正直それが激しすぎて怖い。
俺の質問に顔を緩ませて頭を撫でるばかりで答える気がない留三郎先輩の代わりに答えてくれたのは、隣に居た文次郎先輩だった。

「今日はもういい。会長があれだしな」

あれ、と言って向けた文次郎先輩の目線を追うとキッチンでボウルを持って何やら掻き混ぜている伊作先輩が居た。
てかあの人、人ん家のキッチンで何してんだ。


「ホットケーキ作ってるんだと」

俺の顔に出ていたらしい疑問にも文次郎先輩が答えてくれて、すごい呆れ顔をしている。
そうか、と納得しかけて、俺の家にはホットケーキミックスなんて無かった筈だと気付く。
するとその疑問にも、文次郎先輩が答えてくれた。


「長次が食べたいって言ったから途中で買ってきたんだよ」

そう言えば長次先輩は顔に似合わず甘いものが好きだったなと、長次先輩を見ると無言で頷かれた。
にやりと笑われたけど、これは機嫌がいい時の笑顔だ、だから怖がっちゃいけないんだけど、どうしても顔が引きつってしまう。


「長次!そんな顔で八左ヱ門を見るな!!怖がってるだろっ」

「ぅぐ」

「お前の方が止めろ。八左ヱ門の首締まってるぞ」

抱き寄せられた時に首に回った腕が苦しくて声を上げると、そこに冷静に仙蔵先輩が指摘をしてきた。
お陰で緩んだ腕から、今度は力強く持ち上げられて抜け出た。
驚いて目線を前に向けると、にっと歯を見せて笑う小平太先輩。
どうやら俺を持ち上げたのは小平太先輩らしい、すごく嫌な予感がする。


「プロレスしよう!!」

「は…!?」

本当にいつも突然何だこの人は。
俺の返事なんて無くても勝手に技を掛け出した小平太先輩の腕をタップするけど力が弱まる気配がない。

「ちょ、小平太先輩!!プロレスって、何時も一方的じゃん!!?」

「そうかー?それじゃあ仕返ししてもいいぞ」

「ムリムリムリッ!!体格が違うじゃねースか!それに俺、技分かんないから…!!」

「体で覚えりゃいいだろー。おりゃっ」

「ぎゃーーーーーー」

関節が変な方に曲がって痛みに叫んで周りを見渡して助けを求めてみた。
兵助と勘右衛門は笑顔で応援してるし、お前ら笑ってないで助けろよ。
いつもなら一番に助けに入ってくる留三郎先輩は仙蔵先輩と文次郎先輩が笑って止めていた。
わー仙蔵先輩の爆笑なんて珍し〜、と半分諦めた俺が頭の中で呟いた。

長次先輩は何時止めに入ろうかタイミングを見計らってるし、今だよ今以外ないよ。
雷蔵兄ちゃんは止めに入るべきか入らないべきがですっごい悩んでるし、そんな事してる間に弟の肘が逆に曲がりそうだよ兄ちゃん。
三郎兄ちゃんに至っては目を合わせる気がなく携帯やってるし、くっそー。


俺が完全に諦めて、何個目かの技を掛けようと小平太先輩が動いた時。
予想外の人が助けてくれた。


「皆〜!ホットケーキ出来たよ〜」

存在を忘れていた伊作先輩の声に、一番最初に動いたのは小平太先輩で俺を解放した。
小平太先輩は力加減ってのを覚えたほうがいいと思うと、俺は離された関節を撫でる。


「ほら八左ヱ門もおいで〜」

俺を救ってくれた救世主が笑顔で手を振るのに、俺はへたり込んでいた体を立ち上がらせてそちらへ行く。
皆がもう居て、こういう時だけ行動が早いとか、理不尽だと思いながら甘いホットケーキを食べた。






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