現パロ

*好きになってもらうためには
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好きになってもらうためには
鉢竹 兄弟
※裏表現あり注意





普段の態度は冷たいけど、たまに優しく撫でてくれる手が好きだった。
優しく笑ってはくれないけど、俺から逸らさないその目が好きだった。
抱きしめてはくれないけど、決して見捨てないところが好きだった。


俺は、三郎兄ちゃんが大好きだ。





「っは…ん」

俺を上に向かせるために捕えていた顎から指が外れて下へと降りて行く。
固定されていた苦しさがなくなり、自然と閉じていた目を開くと真っ直ぐな琥珀色の目が俺を見ていた。
その目から逸らすことはできなくて、見つめ合うと、喉の方に降りていた三郎兄ちゃんの指がゆっくりと首をなぞって鎖骨へと降りた。

くすぐったさに身を捩るけど琥珀色の目からは逃げられず、その間も俺の唇は三郎兄ちゃんの唇に塞がれていて離れることはなかった。
口の中では舌が何度も絡み合っている。


「ふ……ぁ、ふぅ…っ」

ぴちゃぴちゃとした音と俺が出している声だけが耳に入り赤くなる。
恥ずかしい、そう思って目を伏せると三郎兄ちゃんの舌が俺の舌を捕まえて啜る。
また目線を戻して三郎兄ちゃんの目を見上げると、舌が褒める様にゆるく絡められた後、俺の口の中から出ていく。

「はぁ、…は、はぁ」

解放された口で俺は大きく何度か息をする。
その動きで、三郎兄ちゃんの唇と繋がっていた透明な糸がぷつりと切れた。
唇に付いた液体を拭おうと下唇を舐めると、同じく下唇を舐める三郎兄ちゃんが目に入って、俺は固まる。

さっきまで静かな琥珀色をしていた目が今は怖い。
俺の更に奥を見てる様で、それなのに三郎兄ちゃんの奥も見えそうな、そんな目をしていた。


「三郎、兄ちゃん…?」

無言で、無表情で、でも目だけは輝いている三郎兄ちゃんに呼びかけて見ても反応はなくて、鎖骨に置かれていた指が今度は俺のパジャマのボタンを外しだす。
ぷちぷちと音を立ててボタンが外れていき、全部のボタンが外れるとパジャマを開かれて胸の上に手を置かれた。
そうして動きを止めた三郎兄ちゃんがようやく口を開く。


「抵抗しないのか?」

「…っだって!三郎兄ちゃんがこれからする事に応えられたら、好きになってくれるって。さっき…!」

「確かに私はそう言ったが、怖いことや痛いことかもしれないぞ」

「……痛いの?」

そう言われると不安になって、ベットの上で俺に覆い被さっている三郎兄ちゃんに不安な目線を向ける。
三郎兄ちゃんは半身だけ起き上がると、俺を見下げてきた。


「痛い。つったら止めるか?」

少し考えてその言葉に首を振る。
嫌だった、また避けられたり触っても振り払われたり、話していても俺を見ていなかったりするのは。
俺は三郎兄ちゃんが大好きだから、三郎兄ちゃんにも俺を好きになってほしい。

「やめない」

はっきりと三郎兄ちゃんの目を見て告げると、小さく溜め息を吐いた後おでこにキスを落とされた。



「馬鹿だな。私が逃げ道用意してあげたのに」


小さく何かを呟かれて聞き返す前に、唇に噛み付くようなキスをされて言葉にすることができなくなる。
俺は目を瞑ると、やっぱり少し怖くて三郎兄ちゃんのTシャツの裾を両手でぎゅっと握った。








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