頂*捧*企

□はちはち
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鉢竹 はちはち企画





四日目






竹谷は今、この空間に終わりがくる事をただ只管に願っていた。


昨日は朝から晩まで人の視線と噂が絶えず、居心地の悪いことこの上なかった。
教室では組のみんなにニヤニヤ笑われ揄れ、教室の外に出ても同じどころか他の組やら学年から見に来る人までいる始末だ。
どんなに否定してもを受けっとってはもらえなくて、それに伴って三郎が不機嫌になって行くのが恐ろしかった。

大半は竹谷と三郎がそういった関係ではないと分かってて、或はありえないと思った上で揄っている事は竹谷にも分かっていた。
そういった噂が立つ面白さと、一部の人は三郎に悪戯された仕返しと言うのもあるだろう、瞬く間に学園中にその噂が広まったのだった。
只一つ、よく一緒に居る級友達が誰よりものこの噂を信じている事が問題なのだ。



「それで八左ヱ門、二人はどういった経緯でその関係になったんだ?」

「あ!俺も知りたい!」

兵助と尾浜に詰め寄られた竹谷は、無言で二人を押しやる。
その際に兵助から付いた豆腐の破片を手拭いで拭い去る。

「二人とも邪魔っ!」

昨日荒らした部屋の掃除を続けながら、何もしないで居る二人を押し退ける。
昨日までは温かく見守ってやるからと言っていた二人も、噂に尾ひれが付いた今日からは我慢が出来なくなったように質問攻めをしてくる。
三郎が近寄れない状態なのでそれを被るのは全て竹谷だった。

「どこまでいったの?」

「馬鹿だな、深夜に部屋を行き来する関係だぞ」

「あ、そっか!じゃあ、初めての口吸いは何時?」

「何時だ?八左ヱ門」

何度となく聞いた質問を竹谷は聞き流して物を整理する事に集中する。


「それでは、何時からそういう関係になったんだ?」

「初めて三郎を意識したのは?」

「二人で出掛けたりはしたのか?」

「俺達に内緒で二人で会っていた場所は?」

「お互いに初恋って本当?」

「手を繋いだ?」

「隠れて膝枕してあげたって?」

「三郎の素顔見た?」

「あ、告白したのはどっち?」



「だぁあああああああああああ!!もぉぉぉぉぉぉおおおお前らうるせぇえええええええ!!!!」


片付け途中の本を投げて、聞き覚えのあるものから無いものまで質問してくる二人に竹谷は叫んだ。
直後に二人から、八左ヱ門の方が煩いよと言われたのがムカつく。

「お前らあんな噂信じんなよ!!毎日俺と三郎と一緒に居るから分かんだろ!?」

「何だかんだで仲いいし」

「よく三郎と悪戯してるし」


「「二人ならあるかなって!!」」


「ねぇよぉぉぉぉぉぉぉ」

ねーと互いに顔を合わせている兵助と尾浜に竹谷の否定の言葉は届かない。
どいつもこいつもぉと呻りながら竹谷は蹲るのを、兵助が声を掛ける。

「八左ヱ門も大変だな」

「人事だと思いやがって!大変だよ、大変に決まってんだろ!他の人からの視線は気になるけど無視してれば何とかなる。けど、委員会でのあいつらの視線が耐えらんねぇよ!!」

あの、声をかけづらい表情をした五つの視線を思い出して竹谷は泣きたくなった。
委員会中の雰囲気も変わってしまって、腫れものに触れるように竹谷に接する下級生達。
竹谷は、可愛がっている五人にそんな態度を取らせてしまっている事を申し訳なく思ってしまう。
噂が収まれば元に戻るだろうが、あの空気の中で委員会をするのは居た堪れなかった。


「あいつらに勘違いされてるとかっ…!」

「まあ下級生にそんな視線を向けられるのは耐えられないな〜」

「それだけじゃねぇよ!!」

「ん?」

「ごく偶に、すっげぇ可哀想な目で見られるんだ!」

兵助と尾浜がどこから取り出したのから知らないが煎餅を貪りながら竹谷の話を聞く。
顔を覆い出した竹谷に尾浜は問い掛ける。

「可哀想って?」

「特には言わないけど、俺には分かる!!」

「だから何?」

「……三郎と付き合ってる可哀想な奴とか思われてんだよ!!絶対!」


天邪鬼で悪戯好きの三郎との付き合いは普通ではない、きっとそんな人を選んだと奇異な目で見られていると考えると悲しくなる。
その事実すらないのに。
そんな視線を一時的にも後輩に向けられるのは竹谷には耐えられなかった。


「まあ、三郎だしね」

「大丈夫だ八左ヱ門。人の噂も七十五日だ」

頼みの友人にもこんな感じに諌められるだけだ。
この中でも関係を否定してくれるかはどうかとして、優しく癒してくれる人物も三郎に独り占めされているので近付けない。
噂が収まるのを待つまでじっとしている事が性に会わないのが分かっている竹谷には、今後どうすればいいのか見当もつかなかった。









「隣は賑やかだねぇ」

「…………」

「何時まで僕にくっ付いてるつもり?」

「…………」

「僕はハチに誤解されるの嫌だなぁ」

「私とハチはそういう関係ではない!」

「んー。大切でしょ?」

「…………」

「素直にならないと誰かに取られちゃうかもよ〜」

「…………」

「このままだと、三郎嫌われちゃうかもね…」

「……!」

「噂で迷惑しているのは三郎だけじゃないんだよ?」

「…ハチと話してみる」

「うん!偉い偉い!!」




「振られたら慰めてあげるね!」

「雷蔵…何か怒ってる?」

「まぁ、三郎の所為でハチが僕に近付いて来ないからねぇ?本っ当に困るわ〜」

「ご迷惑掛けて申し訳ありませんっ!!」






end

昨日は意識がいつの間にかシャットダウン!
起きた時には12時過ぎていました!!
すみませんでした!


四日目で撃沈は早すぎると私も思う。


鉢竹要素がねぇ!

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