頂*捧*企

□恋は曲者
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さぁてどうしてくれましょう。
いわゆる据え膳を前にして、綾部はいやらしく笑った。


綾部には溺愛する恋人がいる。

つい最近、相手側から思いを伝えられた。男としては気分が急上昇しそうな状況だったが、相手が相手であっただけに綾部は微妙な心境だった。


「え?…今なんて……」


好きだ、と言われた時にはもしや自分の耳がおかしくなったのかとも思った。


「だ…だから、僕…は…綾部のことが、…す、…す……好き、です………っ」


顔を真っ赤にさせて、涙の滲む目で必死に訴えられた…「男」に。
身長差のため綾部が見上げる形になる、一般でいけめんと評されるだろう、紛れもない男で年上同級生の斉藤タカ丸。
やはり聞き間違いだろうかと生返事をすると、ぽろりとタカ丸の目から滴がこぼれた。

「僕は本気だよぉ…っ、本気で!…きみのことが……っ!!」

めそめそ。ぽろぽろ。
本当に可哀想。本当に哀しそう。綾部は目の前にいるひとがとてもとても「男の子」には見えず、なんだか守ってやらねばならないような気分になった。

「はいはいもう泣かないで」

しょっぱい滴を舐めとってやれば、タカ丸は思いがけないことに目を丸くして固まった。

「おやまぁ間抜け面」

「ひっ…ひどい!!綾部がヘンなことするからじゃんっ」

顔が可哀想なくらい真っ赤になったままで、怒っているつもりなのかぷくうと頬を膨らます様は、綾部の中に今までにない感覚を生んだ。

かわいい。

そう自覚してからの、綾部の行動はそれは素早いものだった。




「私のこと、好きなのでしょう?」


毛色の違ったクラスメイトから、愛する人になってしまっては。綾部からしては構いたくて構いたくて仕方ないのである。

そして…。


「たーかまーるさんっ」

「ひゃあああっ!!」

名前を呼ばれると同時に耳たぶを噛まれ、タカ丸は情けない悲鳴をあげた。顔はすでに真っ赤に湯であがっていた。

「今日もあなたはお可愛いらしい。そうだタカ丸さん、この後のご予定は…ありませんよね?でしたら今すぐにでも私の部屋で二人っきりの甘い時間をすごしません…「誘いながらまさぐらないでぇえええっ!!!!」おっと失礼」

綾部ってこんなキャラだったっけ?
にわかに信じがたいが、以前の綾部という男は掴み所がなくひどく飄々とした性格だった。
それがどうしたことか、タカ丸が想いを吐露した途端、まさしく人格が豹変したのだ。

「…はぁ、もう本当にそそるカラダですね。あなたの全てが私を魅了してやまないのですよ?」

「し…舌なめずりして舐めるように見つめるのはやめてぇえ!!」

「おやまぁ嫌ではないくせに」

「ほんとに君は綾部なのっ?!」


もはやタカ丸には自身の体を抱き締めて震えるしかない。
綾部はにまにまと満足げにその様子を眺めながら言った。


「もちろん、私は正真正銘綾部喜八郎ですよ。ほら、よく言うでしょう?」



恋は曲者

ってね。




―――――――――――――――
六樹様に無理言って、『タカ丸の尻を狙う綾部』を書いて貰っちゃいました!

可愛い可愛い可愛い(´ii`●)
告白するタカ丸も然る事ながら、豹変綾部……。


涎もんデスネ☆


もう満足して死ねる思いました(*´Д`*)
六樹様!!
本っ当にありがとうございました!!!!

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