シリーズ

□左門の恋愛相談
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左門の恋愛相談
左門→孫富








それは、唐突に始まった。




「相談があるんだ!作兵衛!!」

そう言ったのは、俺と同室の一人である神崎左門だった。
まるで悩みなど無い様な笑顔で言われたので、俺は左門が言った言葉を理解するまで時間が掛かってしまった。
左門は、そんなことは気にせずに話し出す。

「これから話す事は、私と作兵衛の秘密にして欲しい」

そう言って、左門が真剣な顔をしたが、秘密と言われても、この部屋には俺たち以外にもう一人いることを忘れているのだろうか。
俺は、そのもう一人の同室であり、今同じ部屋に居て肘を付いて寝転がっている次屋三之助に目を向ける。

「秘密も何も、三之助がいるじゃねぇか」

「三之助はいいのだ」

三之助に聞こえては秘密にならないのではと言う俺の疑問に、気にしないと言うように左門が答える。
三之助も寝転がったまま片手を振って、気にすんな〜とか言ってる。
こいつら、秘密って意味分かってんのか。
しかし左門がいいって言うなら、俺が気にすることはないと考えを切り替えた。

「ああ、分かった。秘密にする」

俺はそう言って、左門に向き直る。
何事もその決断力で物事をきっぱり決断する左門が(大抵迷惑を被る事になるが)、俺に相談するほど悩むことなのだ。
真剣に聞かなければならない。


「私、好きな人ができたのだ!」


と、左門に言われて俺は肩すかしをくらった気分になる。
いや、危ないことに首を突っ込んでいたりして悩んでるのかと勝手に想像してた俺も悪いが、恋愛相談をそんなに真剣にする事でもないだろう。
そう思っていた俺は、左門の次の言葉に思考も動きも停止することになった。






「孫兵がのことが好きなのだ!!」







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