短編小説

□カランカラン
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窓を見やると、外の景色は思うように見えず、結露がその存在を主張し、嫌でも外の寒さを思い知る。自然にここの温かさを感じる。
 『行こうよー!だって、一年に一回だよ?!』
必死になって誘うけど、依然として数式を解きながら、
 『……そんなら、余計行かなくてもいいんじゃない?一年に一回しか行かないなら、行っても行かなくても同じだよ。』
と答える、崇。

……小憎たらしいやつめ。
でも、それでも一緒に行きたい。

 『崇ー……。』
 『……寒いって。』
名前だけ呼んでみても、やっぱりこの返事。

 『冬なんだから寒いのは当たり前なんだよー。』
 『……うん、だから今日も暖かい場所にいるんだろ?』
 『………。』
 『…………。』
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