時夢の狭間・長編

□蔵馬夢・8
2ページ/8ページ

「行ってきまぁ〜す。」

 いつもの様に、お弁当のイナリ寿司をカバンにつめて、学校へと向かう。





 昨日、蔵馬に告白された所まで歩いて行くと、同じ様にその人は立っていた。

「おはよう、サキ」
「蔵馬! お、おはよ……//どうして?」
「どうしても、一緒に学校に行きたくて」

 待ってました、と蔵馬は少し自嘲気味の笑みを浮かべた。

「うぅん、私も、早く会いたかったから嬉しい。昨日も、良く眠れなくって」

 サキは少し恥ずかしそうに、てへっ、と笑った。

「サキも、ですか?」
「え、蔵馬も?」
「あ、ええ。昨日は///」

 サキにつられて蔵馬も以外に子供っぽい笑顔を見せながら、言った。
 蔵馬は、カバンを持っていない方の手をサキに向かって差し出す。

「さぁ、行きましょうか」

 最初、少し恥ずかしそうにためらっていたサキも、カバンを逆の手に持ちかえると、蔵馬の方へと手を伸ばした。







 蔵馬とサキが教室に辿り着いた頃、学校中は雷でも落ちたかの様な騒ぎ(特に女子)になっていた。
 サキはというと、恥ずかしくて、ずっと下を向いたまま。

「……大丈夫?」

 心配した蔵馬が、隣に座っているサキに手を伸ばす。

 “きゃ〜///!”



 周りから、そんな声が響く。先程から、ずっとこんな感じ。
 先生が教室に入って来ても、周りはまだ少しザワついたままだった。



 しかし、そんな空気も嫌、ではなかった。
 2人は、久しぶりに穏やかな1日を過ごす事が出来た。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ