時夢の狭間・長編
□蔵馬夢・8
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「行ってきまぁ〜す。」
いつもの様に、お弁当のイナリ寿司をカバンにつめて、学校へと向かう。
昨日、蔵馬に告白された所まで歩いて行くと、同じ様にその人は立っていた。
「おはよう、サキ」
「蔵馬! お、おはよ……//どうして?」
「どうしても、一緒に学校に行きたくて」
待ってました、と蔵馬は少し自嘲気味の笑みを浮かべた。
「うぅん、私も、早く会いたかったから嬉しい。昨日も、良く眠れなくって」
サキは少し恥ずかしそうに、てへっ、と笑った。
「サキも、ですか?」
「え、蔵馬も?」
「あ、ええ。昨日は///」
サキにつられて蔵馬も以外に子供っぽい笑顔を見せながら、言った。
蔵馬は、カバンを持っていない方の手をサキに向かって差し出す。
「さぁ、行きましょうか」
最初、少し恥ずかしそうにためらっていたサキも、カバンを逆の手に持ちかえると、蔵馬の方へと手を伸ばした。
蔵馬とサキが教室に辿り着いた頃、学校中は雷でも落ちたかの様な騒ぎ(特に女子)になっていた。
サキはというと、恥ずかしくて、ずっと下を向いたまま。
「……大丈夫?」
心配した蔵馬が、隣に座っているサキに手を伸ばす。
“きゃ〜///!”
周りから、そんな声が響く。先程から、ずっとこんな感じ。
先生が教室に入って来ても、周りはまだ少しザワついたままだった。
しかし、そんな空気も嫌、ではなかった。
2人は、久しぶりに穏やかな1日を過ごす事が出来た。