時夢の狭間・長編

□蔵馬夢・6
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「ありえない。と、断言は出来ないね」

 その言葉に、臆する事無くサキは言った。

「また封印します、必ず」

「サキ……!」

 蔵馬の顔に、悲しみの入り混じった驚愕の表情が浮かぶ。
 そして、サキの頭に大きなげんこつが落ちる。


「痛いです、師範っ……(ToT)」
「当たり前だ。今のは少々本気で叩いたからな。前にも言ったが――」

 力を磨き、自身の力を高め続ければ……その話は、カンで言ったわけではない。
 サキの可能性を信じているから言ったのだ、と幻海は言った。



「……そうですね。あがいてみます。今回は、仲間もたくさんいそうだし(^^)」
「そうだね。オレも、師範も、幽助達も」

 幻海とサキの言葉に、少し安心して蔵馬はそう言った。







「……それと」

 少し間をおいて、幻海がポツリとつぶやく。

「イチャつくなら他でしな。部屋に入りにくいだろう」

かちゃり、と少し乱暴に薬湯の入っていた湯呑みを片付けながら、幻海は足早にその部屋をあとにした。





 †





「家の…近くまで送るよ。サキ。」

「……ん」

 辺りは薄暗くなり、夜の訪れを告げ始めている。
 蔵馬とサキは、何を話すでもなく、家路への道を歩いていた。

 静かな夜道の中で、ふいに蔵馬が口を開く。



「……初めて一緒に帰った時も、こんな感じでしたね」
「そ、かな」



「今も、オレの事“面倒”?」

 少し悲しそうに言って来た蔵馬に、サキの足が止まる。

(蔵馬……あの時の事、気にしてたんだ)
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