時夢の狭間・長編
□蔵馬夢・5
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「「運命……?」」
“運命”という言葉に、少し疑問を持った二人だったが――
「「……はい。」」
はっきりと返事をした。
†
「蔵馬、薬を持って来たかい?」
幻海は蔵馬に静かに言った。
蔵馬は“前世の実”を取り出しながら返事をする。
「はい。でも師範、これを何に?」
「蔵馬、サキ。この薬を一口ずつ飲みな。話はそれからだ。」
そう言われて、蔵馬とサキは薬を一口ずつ口に含んだ。
フワッ……
まず最初に元の姿に戻ったのは……蔵馬。
美しい銀色の毛並みを持つ妖狐だ。
「くっ、蔵馬っ////」
サキがその姿に見とれている暇も無く、サキの体にも変化が起こり始める。
「……!? あ"ッ」
サキが軽い悲鳴をあげると同時に、サキの青い髪は光を帯びた美しい青銀色へと変わっていく。
サキの体は、蔵馬が見たあの“青銀色の妖狐”へと姿を変えた。
「なっ、何コレッ!? 尻尾がいっぱいある!?」
自分の体を見回して焦っているサキ……の横でサキに見とれている蔵馬。
(落ち着け、落ち着け尻尾……!)
必死でサキに背中を向けて気を落ち着かせようとする蔵馬。
「蔵馬?」
サキが蔵馬の名前を呼ぶが、蔵馬は背を向けたまま、尻尾をパタパタと振り続けている。