時夢の狭間・長編
□蔵馬夢・5
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吸い込まれるように、海籐の肉体に魂が吸い込まれる。それを見たサキは、安堵したように幻海の顔を見上げた。
「まあまあだね……いいだろう」
そう言って幻海はサキの肩に軽く手を添えて微笑んだ。
「……はいっ。」
「ばーさん。サキにはやさしいよな」
「お前と違って覚えが早くて素直だからね」
少しスネた様な言い方でそう言う幽助に幻海が反論する。
その直後に海藤が目を覚ました。
「うっ。あ、どうやら計画通りに話は進んだみたいだね」
†
三週間後には戸愚呂クラスのB級妖怪までが全て、人間界を自由に出入り出来るようになってしまう。
そうコエンマが静かに説明する。
「今すぐ行ってぶちのめしてやるぜ!オメーら案内しろ!───」
とび出して行こうとする幽助の頭を幻海が思いっきりなぐる。
「お前の脳みそは反省って言葉を知らんのか!」
敵を知る事が先決だ、と言って皆が話し合っている間に飛影は“オレは魔界に帰るぜ”と言って出ていってしまった。
「行動をおこすのはあさってだ。二手にわかれて街の様子を探る」
そう言って幻海がは皆を家に帰る様に促す。
幻海は皆が帰り始めた時に、蔵馬とサキを部屋の隅に呼び出し、小声で言った。
「明日、二人で私の寺へ来な。大事な話がある」
†
蔵馬は喫茶店に着くと軽く息を吐いた。“二人で”と言われたので、お寺にほど近い喫茶店で待ち合わせをしたのだ。