時夢の狭間・長編

□プロローグ
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 手の中に納めた空色の光が、強い輝きを放つ。
 眩しさに思わず目を閉じるが、どうやらそれは朝の日の光のようだった。

(そうか、このブレスレット。つけたまま寝ちゃったんだっけ)





 いつもと同じ様に眠った。……いつもと同じ様な朝だった……のに。





「サキ〜学校、遅れるわよ〜」


 聞こえてきたのは、聞きなれないそんな声だった。









 居間へと急ぐ。

「ほら、制服クリーニングに出しておいたわよ」


 目の前に差し出されたのは“盟王高校”のワッペンのついた見慣れない制服…………???

「あの…貴方誰…?」

 サキに制服を差し出しているその母らしき人は、青い髪に赤い瞳を持っていた。


「もう、いつまで寝呆けてるの?」




   †




 とりあえず、その母らしき人が作ったお弁当のイナリ寿司をカバンにつめて、学校へ行く準備を始める。

 頭の中で、薄れて消えていく記憶にも気付かずに、学校へと向かった。







 校門をくぐったところで予鈴が鳴り、急いで教室へと駆け込む。その直後に先生が教室へと入ってきた。


「おはよう。珍しいね、狐宮さんが遅刻しそうになるなんて。」


 そう言って人懐っこい笑顔で話し掛けてきた、隣の席の赤い長髪の男子生徒。
 サキはなぜかプイッと顔をそらす。やれやれ……と言ったようにその男子生徒は先生の方へと向き直った。




  †




――ヤット…… メザメタ  コノ ……オンナダ ――


  †



――現実界の記憶を無くし…運命は急速に進み始める…――



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