時夢の狭間・長編

□蔵馬夢・5
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「……仙水か」



 (イツキ)は、小さな船の中にロウソクをたてて、もくもくと魔界に通じる穴を広げながら言った。

「穴は順調に広がっているようだな、樹」





「この結界には、私と違うタイプの次元をつかさどる能力者が必要だ」

 樹は仙水に静かに説明しながら続ける。
“次元を切る”能力者と“次元の道を操る”能力者。
樹が“次元の扉”をあけただけでは、無理に開いた扉には次元のほころびが多く、安全に魔界へ着く事が出来ない可能性が高いのだ。

「次元を切る能力者と操る能力者か。よかろう。オレが必ず見つけ出す」





  †





「詳しい話は海藤の魂を戻してからだ」
「あ、すっかり忘れてた」


 そう言って、幻海が海藤の魂の上に手をかざす……が、その手を下ろしてしまった。

「ど〜したんだ?ばーさん?」

 そう言う幽助を尻目に、幻海はサキの方に向き直って、言った。

「サキ。お前がやりな」





「……はい?」
「つべこべ言わずにやりな。武術会の時は肉体に魂が安定せずに本当に死ぬかと思ったわい」
「スミマセン……;」
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