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秘密があるっていいと思うけどさ、誰にも言わないことが秘密であってやっぱりそれは心にしまっておくべきでしょう?


*平凡.com*


『はぁ…なんでこんなことに…』

「ぶつぶつうるせーよ転校生のくせに初っ端からサボりまくるお前が悪い」


はぁ、ともう一度大きくため息をつく。
こんなこと、とは言ったがなんていうか普通に授業受けてるだけなんだけどね。
だけどさ、幸村大魔王様が降臨なされたことにより精神的大ダメージを受けた私は午後の授業なんて受ける気力が微塵もなかったわけですよ。
それを赤髪2号がなんでかひょっこり現れ無理矢理教室に引き戻された、と。


『禿げろ。いや、絶対禿げるね。頭皮はもう人生の折り返し地点にきてる』

「厨二病は黙っとけ」

『厨二じゃねーって言ってんだろーが何聞いてたんだよ脳みそまで人生の折り返し地点かよ』

「てめっ、女だからって…!」


赤髪2号は本来可愛らしいのであろう顔をこれでもかと引き攣らせてシャープペンを握りしめる手をわなわなと震わせた。


『え、私のこと女だと認識できてたんだ。いや女だけど』

「オイ。ってか、岳人お前なんか変だぞ?さっきから黙りこくって珍しいな」

「な、なんでもねぇっ」


なんか、なんかよくわからんけどたぶんテニス部のくせにわたわたしてるこの小動物的な生き物可愛くない?
え、何、どうした私の脳内。確かに小動物を愛でる感覚はなくしちゃいないけどこの赤髪1号が小動物と被って見えるとか私の目がおかしく……


「なっ、ななななんだよ」

『なにそれ反則だろ可愛すぎか』

「「はぁ?」」

『ちょ、何ハモッてんだよ黙れよ』

「「おい!」」


二人して私の話聞いてなさすぎ。2号は知らんけど1号はテニス部だろ屋上にいたやつらの面はもう覚えてないけどそんなオーラが垂れ流されてたことはばっちり肌で感じ取ったわ。朝の無関心の才能どこ置いてきたんだよ。


「ちょっと貴方達、今は授業中ですのよ。静かにしてもらえなくて?」

「「ごめん(悪い)千尋!」」


前の席に座っていた超絶美人がサラッサラの髪をシャンプーのCMみたいに靡かせながら振り返った。すげーこんな美人初めて見たわしかもお嬢様なのかないやお嬢様なんだろうな。


「貴方も真面目に授業を受けた方がよろしいと思いますわ」

『優等生だ。美人でお嬢様で優等生とかそれなんて少女漫画の登場人物だよ』

「お前は平等に失礼な奴だな」

『貶してる?それとも貶してる?』

「それYes or はいってやつだろ。選択肢足りねーぞ。あっても選ばねえけどな」

『褒め称えたいなら好きにしていいけど。あ、やっぱりそんなことしなくていいからほっといてくれない?』


私の平和で平穏で(以下略)の日々のためにはこいつら(2号も派手だから)は不必要な存在であるとガイアが私にささやいてるんだわ。


『特におかっぱ小動物。あんたテニス部とかでしょそうならそうと首からプレートでもかけてろよ紛らわしい』

「なんだよ知ってたのかよ」

「テニス部だけど、なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだっ」

「そんな仕組みはありませんことよ」


なんだかんだ言いつつ、授業内容が難しくないこともあり千尋とやらも会話に参加していた。チラチラと他から視線を感じるたび嫌な予感がしないこともない。


『つか、あんたら仲良いね。そっちだけでいちゃこらワールド展開して私を締め出してくれて全然いいんだよ』

「なんだよお前ドMかよ」

『それは流石に聞き捨てならないわちょっと表出ろ』

「仲良いも何も俺たちテニス部だしな」


はい?今なんですと?俺たち?たちと言ってなかったかいや言った絶対言った。


「ええ、私もマネージャーを務めさせていただいてますのよ」


『はぁあああ!?』


思わずガターンと音を立てて立ち上がってしまった。
教師と目が合うも、教師も転校してきたばかりの私の扱いを決めかねているらしく見逃してくれるらしい。


「お前も驚くんだな」

『それどころじゃないこれ以上私に話しかけるな近づくな』

「近づくも何も席ここなんだから動けねえよ」

『よし、転校しよう』

「今日きたばっかじゃん」

『そういう問題じゃないんだわこれは私の問題でテニス部に関わるわけにはいかないんだわ』

「は?なんで…」


おかっぱ小動物がこてんと首をかしげたところでちょうど授業の終了を告げる鐘が鳴り響いた。
タイミングがいいとも悪いとも言えないが、それは同時に午後の授業が終了したことも告げていた。
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