short story


□眼鏡が見つからへん・・・
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練習終えて部室に戻ったら、俺の眼鏡が消えていた。










ダテ眼鏡やけど・・・大切なもんやしな・・











無くなったら、俺生きてけへんわ。












すぐ近くにおる岳人に聞いてみるか・・。













「おい・・岳人!俺の眼鏡、何処にあるか知らへん?」
「あぁ、それなら鳳が食ったぜっ」
「まじか?!」
「えっ!嘘で言ったんだけど・・」
「ホンマかと思ったわ〜」
「いや、ホントはジローが食った。なっ、鳳!お前も見てたよなっ?!」







岳人の問いかけに、なかなか鳳が答えへん。








何しとんのや?と鳳の方を見ると、




何処か遠くを見つめとる。












「あっ!すみません・・・;;宍戸さん見てました」






どんだけ宍戸が好きやねんっっ!!





突っ込みたくなったけど、やめといた。










結局誰が俺の眼鏡を盗んだんか、わからへん・・・




ホンマにジローなんか・・?










そんなことを思っとったら、本人が来た。











「ふぁぁ・・・ん?みんな、どうしたの・・・?」






ジローが来たとたん、岳人が叫ぶ。





「こんにゃろうっ!忍足のジョセーヌ(忍足の眼鏡の名前)返せっっ!!」
「そーだ!そーだ!」





岳人や鳳だけやと思ったら、樺地や宍戸・・滝まで居るしっっ!!





「お前ら、いつの間にいたんっっ?!」
「さっきから、ずっと後ろにいましたー」




幼稚園生みたいに声を揃えて答える。





なんや?この部活・・大丈夫なんか・・?









心配になってきたわ・・・。







もうええっ!俺もボケたれっっ!!









「・・ジョセーヌ・・・ごめん。朝ごはんも昼ごはんも与えてへんで・・・家出したんやな」
「なっっ!そうなのっっ!!」







ジローの目が一気に覚める。








どや?このボケ?








俺の眼鏡・・返す気になったやろ?









「よしっ!ジョセーヌ、返してあげよう!」
ジローがポケットに手を入れて探る。








そう、それでええ!








そしてポケットからジョセーヌが・・・
































「出てこなかったっっ!!」


















岳人や宍戸が一斉に言う。









俺もさすがにマジになる。









「頭割るぞ・・・コラァ」
「いやいや!やり過ぎっ!!」
「なら、何処にあんねんっっ!!俺の愛しのジョセーヌはっっ!!!」










あぁ、もうジョセーヌがいないと泣きそうやわ・・俺・・・。












しばらくするとジローが答えた。










「あー・・・、そういえば榊先生が持ってたような・・・?」
「でも榊先生を探すのは、めんどくさいですね。忍足先輩が見つけるまで、畳の目でも数えてましょうか?」
「そーだな、長太郎。ジョセーヌは忍足に任せて俺達は和室行くか」
「・・・ウス」







いや眼鏡探すより、大変やろ・・その地味な作業・・・。





なのになんで皆、やる気満々なん?わからへん。。








「じゃあ侑士〜、もっと探してミソっ!」
「忍足先輩頑張って下さい!」
「あばよ、忍足」









パタン。









ホンマに全員、行ってしもうた・・・。













「しゃあない、1人で探すか・・」


と呟きながら部室を出ると・・・










キノコボーイこと日吉が現れた。












「よぉ、日吉やないか。どっか行くんか?」
「・・・・・・・・。」
「無視せんといてっ!!ただでさえ俺、今メッチャ気分ブルーやのに・・・」




その答えに少し心を開いてくれたんか、呆れ顔で日吉が答えた。





「なんですか?忍足さん・・・」






あたかもゴミを見るような目なんやけど・・気のせいか?








あれ・・・俺、先輩やのに。








これも下克上の一種なんか?











「用があるなら、早く言って下さいよ」
「あぁ・・・せや、榊先生知らへん?」
「知りません」








えらくキッパリ答えたな〜。




もう少し考えるとかないんかっ!






「・・・ヒド・・、冷たいなあ・・・。
じゃあジョセーヌは知らへん?」
「知りません。
不快なので、とっとと消え失せて下さい」
「更にヒドっ!
・・・まぁええわ。ほな、さいならー」
「・・・・・・・・・・。」







日吉なんて知らんわっ・・・と思ってたら、
日吉のポケットから、俺のジョセーヌが見えとった。













おおおおおおううういーーーーっっ!!
日吉、おまっ、ポケットの中にジョセーヌが居るやんっ!!」










叫んだら、日吉に氷のような目で見られた。









「知りません、錯覚です。何処か行って下さい。
むしろ、この世界から消えて下さい」
「せやから、ヒドっっ!!
とりあえず、その眼鏡よこせやっ!!」
「嫌です、やめてください。
もう目の前で赤く染めてあげましょうか?












『赤く染める』・・・それ立海の切原のセリフやないかっ!!









日吉の十八番のセリフ・・『下克上』はどうしたねんっ?!










そんなこと、思っとったら何処からか持ってきたんか・・わからへん、死神の鎌みたいのを出してきよった。





















悪魔を通り越したで・・コイツ・・・。





















「やめやっ!それは・・・」
「非常食です。(ムシャムシャ)」
「チョコかいな・・ビックリさせんといて・・・」
「いいえ、ケフィ○です」
「なら、ホワイトチョコか?」
「では、さようなら。忍足さん」












もう構わないで下さい、と恋人が別れ際に相手に言うみたいなセリフを言い残して、日吉は去った。















これでええんかな・・・?












ん?待て・・・















俺のジョセーヌは?


























「待て!眼鏡置いてけやっーーーーー!!」















置いてけやー、けやー、やー・・・

























忍足の声によって、何個まで畳の目が数えていたか、分からなくなったらしい。

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