『恋樹』


□22・すべての終わり
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残ったたこ焼きにあった爆弾は・・・見事すべて謙也君のところへいって・・・












無事・・・懇親会・たこ焼きパーティーは終了した。













「・・・もうこんな地獄みたいな体験はしたくないで・・・」
「謙也さん、運なさ過ぎ〜・・・」
「謙也君、お疲れ様」
「しばらくたこ焼きはええな。
・・・やっぱ懇親会は素麺の方がええわ」









うん、白石君の言う通り。







素麺の方がいいと思う・・・







あれから一氏君の意識が全然、戻ってこないから・・・














「ほんなら今日は片付けし終わったら、自由解散してええで」




そんな白石君の一言で皆が片付けを始める。




残った具材を皆で分けて・・・


使い終わったプレートを洗ったりして・・・










気がつけば時刻は7時。








いつもなら自主練してる白石君と部室の掃除してる私くらいしか残ってない時間だ。






「うわっ!こんな時間やっ!!
今日、見たい番組あんねん!ほな、先帰るわ」
「俺も・・・お先に失礼します」
「ワシもお暇させてもらうで」
「こ、小春・・・帰る・・・で・・」
「ユウくん大丈夫なん?」








そう言って皆、部室を出て行く。








一気に・・・先まで賑やかだった部室が静かになった。

















「残ったのは・・・いつもと同じ2人だね」
「せやな・・・」
「部誌・・・書き終わりそう??」
「あと少しやな」







いつも部誌を最後に白石君が書いて・・・部活が終わるんだけど、


何て書いてるのかな・・・?



って覗いて見ようとすると駄目って拒否されてしまう。



教室でも。



ノートもメモも見せてくれない。







「どうして見せてくれないの?」
「駄目なものは駄目やって」
「白石君だから変なコト書いてないでしょ?
それに字だって綺麗なハズだもん」
「それでも駄目なものは駄目や」















駄目だ。









今日も見せてくれそうにない・・・















「なぁ・・・如月さん」
「どうしたの?」
「誰にでも・・・頼んできたら、あんな事するん?」
「あんな事?」
「財前に頼まれて『あーん』してたやろ?」
「う、うん・・・」
「もし謙也とか、俺とか・・・違う人が頼んでも簡単にあういう事するん?」
「それは・・・」





次の言葉に詰まっていたら、白石君におでこをデコピンされた。






「如月さん、無防備過ぎやろ」
「む、無防備って・・・??」
「ええか?前もいうたかもしれんけど、笑顔も簡単に見せたらアカンし、
頼まれたからって簡単に引き受けたらアカンで?俺以外は」
「だから・・・白石君にだけって不平等だよ」
「不平等なぁ・・・。まぁ平等でもええけど・・・
俺の前で、他の人に笑顔見せたり・・・頼み事引き受けたりするのはアカンで?」
「白石君の前で?どうして・・・?」
「今日の財前のみたいに・・・嫉妬するからなぁ」
「・・・・??」
「とにかく・・・アカンからな?」
「うん・・・」
「よし、部誌書き終わったし、話も一段落ついたし帰ろうか?」
「うん!」








































部室で・・・白石君と会話して帰る。





























ここまではいつもと同じだった。












樹のところへ行って、


返事を書いて、


家に帰って、


「ただいま」って言って、


夕飯を食べて、


お風呂に入って、


宿題して、


お父さんに電話して、


明日を迎える。









今日もそんな平和な1日を送るはずだったの。




















でも・・・そんな考えが壊れたのは・・・














帰ろうとして白石君と部室を出た直後だった。
































私の・・・携帯電話が鳴った。































携帯電話を開いてディスプレイを見る。






そこに書いてあった文字に・・・不安が過ぎった。























私は・・・






震える手で・・・






通話ボタンを・・・










押した。



























「・・・はい」
「あっ、こちら大阪付立第一病院ですが、
如月 夕歌さんの携帯電話でよろしいでしょうか?」
「・・・はい」
「実は先ほどお母さんのほうが・・・」


























聞きたくないって思った。









告げないで欲しいって思った。


















でも・・・そんな願い届くわけない。


























電話からの一言で・・・私の目の前は真っ暗になって・・・







平和な日常は・・・









音をたてて崩れた。






















「・・如月さん?どないしたん・・・?」





私を心配する白石君の声さえも闇に呑み込まれて・・・
































ここから先の私の記憶が途絶えた。






















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