Chamber of Secrets

□39条
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淡い陽光がホグワーツを照らす季節が再びやってきた

ジャスティンとニックの事件以来、襲撃は起きておらず、城内のムードは少し明るくなった

ような気がしないでもなかった

「やぁ、なぎ!今日も可愛らしいですね」

ハリーは「や」を聞いた瞬間身を隠し、私を置いて逃げた

あとで、ハリー、泣かす

ハー子は隣で赤くなっている

お譲りするよ!!

「この後、お茶でもいかがです?もちろんお友達のMs.グレンジャーもご一緒に」

「授業がありますしご遠慮します」

「ぁあ!なぎ、違うのですよ」

なにが!?

あ、今までの功績か

ロックハートはささっと近寄ってきて私の両手を握った

「あ、あの離してください!気持ちわ―「私は決して貴方のことをお遊びと思っている訳じゃありません、もちろん貴方からしたらこの私にそんなことを言われるなんて幸運信じられないでしょう、しかし私は本気ですよ、なぎ」」

私の否定的な言葉を遮ったロックハートは白い歯をちらつかせながら、私に妙に顔を近づけ、愛の演説をしている

「私と結婚しましょう」

ロックハートはきっぱりと言った

目は真っ直ぐ私を見つめている

顔が赤くなるのを感じた

セブルスに言われてみたい!

「アバダケタブラ!!」

目の前を緑の閃光が掠めた

私もロックハートも飛び退き、光源を振り返る

「チッ…外してしまった、今なら二人まとめて葬れると思ったんじゃがのぉお!」

地団駄を踏み、ダンブルドアが立っていた

今日ばかりはダンブルドア愛してる!ありがとう!

我に返った私はハー子の腕を掴み走り出した

ロックハートの声が追いかけてくる

「なぎ!」

「ごめんなさい!」

二人で息を切らし、なんとか地下牢前についた

いろんな意味で心臓ばくばくである

「……どうした?」

扉の前で息を整えていると後ろから、ベルベットボイスが降りかかった

「なななな、なんでもないです!」

いつかの組分け帽子ばりに噛んでしまった

(私と結婚しましょう)

また顔が赤くなるのを感じた

怪訝な顔のセブルスとハー子を取り残し、私は転がるように扉を開け、空いている席を探した



自分のローブの裾に躓いて派手に転けた

教科書が散乱した

「なにがしたいのだ貴様は…少しは落ち着いて行動できんのか」

眉間に皺がプラスされたセブルスが怒鳴った

「す、すみません……」

ハー子が駆けよって私の教科書を拾う前に、セブルスが私を立たせ、教科書を拾い上げてくれた

それを見たスリザリンもグリフィンドールも、気持ち悪いくらい静かになった

セブルスは教科書で私の頭を殴ってから、私に差し出した

「ありがとうございます」

セブルスは鼻を鳴らした

「さっさと席につけ…と言いたい所だがゆっくりで構わん、また教科書を撒かれても迷惑ですからな」

セブルスが苦々しく言った




(私と結婚しましょう)

「Ms.嶋本、先ほどから君がなにを調合しているか、私に教えていただけますかな?」

(私と結婚しましょう)

「嶋本!」

はー子に小突かれた

「ん、なぁに?」

はー子は無表情で、目で何かを示した

「馬鹿者!!」

「ぅわぁあっ」

セブルスが岩のような顔で目の前に立っていた

「貴様はさっきから何を作っている?」

鍋を見ると可愛いスライムができている

黄土色だけど

今日の授業はスライムを作ろうだったのか

小学生のようだ

「今日の授業内容を言ってみろ」

スライムを作ろうなんて言ったらまた殴られることは必至

しかし黒板を見ようにもセブルスが前に立っているため見えない

なんか答えなきゃ、なんか、なんか

「キーマカレーを作ろう?」

咄嗟に出てきた名前がそれだった

「ほら、ナンと食べるやつですよ、ナンちゃって」

セブルスの顔がひきつった

滑ったらしい

わたしはわたしの舌を呪った

「…飲んで試して頂けますかな?」

私は杓で掬い上げ飲もうとした

グリンピースを入れればわりと旨そうだ

「止めんか馬鹿!」

セブルスにがっしり腕を捕まれ阻止された

「せ、先生が飲めって言ったのに!」

「それの解毒剤は作れん」

毒じゃないよ失礼だなキーマカレーだよインドの人に謝れ!

「最初から作り直せ」

セブルスの一振りで可愛かったスライムは消えた

鍋をいったん火から下ろそうと思い、両手で鍋を持った

「熱ッ―…」

鍋を取り落とした

「馬鹿者!火にかけていた鍋が熱いのは当然だろう」

セブルスがぐーで私の頭を殴った

ちょきじゃ殴れないか

「今日はなんだ?ろくに話も聞かずに調合まで上の空…ふざけているのか?」

「スネイプ先生、仕方ないんです」

はー子が恐る恐る言った

セブルスははー子を見た

「実は授業前に「はー子!!あれはなかったことにしようそうしよう、むしろお願いだから二人だけの秘密にしてくださぃいいい」」

「シレンシオ」

セブルスは私に杖を向けて唱えた

声がでなくなった

生徒になんてことを!

理事会に、ルシウス先輩に言わねば!

「グレンジャー、話せ」

ハー子ぉおおお!!!

私ははー子の足にすがりついたがセブルスに片手でべりっと引き剥がされた

「ロックハート先生にプロポーズされたんです」

静かな教室にハーマイオニーの声が響いた

周りの生徒からは様々な声が溢れ、セブルスの顔が岩のようになった

「……えー、それはこのMs嶋本がですかな?」

凶悪な顔をして凶悪な声でセブルスが言った

私の襟首を持ち、親猫が子猫を運ぶ時のように吊し上げられる

ご立腹のようだ

教室は再び静寂に包まれた

優しさに包まれたい

「はい、でもなぎったら真っ赤になってロックハート先生にちゃんと返事もしないで逃げ出したんです」

ハー子ぉおおお!!

「……」

セブルスが私を睨みつけてきた

私は悪くない!

「なかなか愉快そうな話ですなぁ、Ms嶋本?」

猫なで声に思わずうっとりとしてしまった

セブルスは露骨に嫌な顔をした

授業終了の鐘がなったので生徒は片付けを始めた

私もそれにあやかって帰ろう

さぁ帰ろう、やれ帰ろう!

教科書がひょいっと取り上げられた

「お前は薬が出来るまで残れ!貴様らはとっとと失せろ!!」

他の生徒に怒りが飛び火

蜘蛛の子を散らすように地下牢から逃げて行った

私も蜘蛛の子になりたいッ

「こら逃げるな!」

セブルスに取り上げられた私の教科書で殴られた


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