Chamber of Secrets

□38条
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わたしはまた冷たい廊下で尻餅をついていた

「襲われた!襲われた!またまた襲われた!現行犯だー!」

ピーブスの叫び声で我に返った

「師匠叫ばないで!」

「ポッターがなぎ・嶋本を襲うところだぞーー!」

我に返った甲斐もなく、ピーブスの声であっという間に人だかりになった

人だかりの中心は石になったジャスティンと首なしニック、ハリーと、尻餅をついたわたしだ

ジャスティンに躓いて尻餅をついたところに反対側からハリーが来たのだった

「現行犯だ!」

ジャスティンとよく一緒にいた男の子がハリーを指差した

「違う!ハリーはやってません!」

わたしがマクゴナガルにすがるように言うと師匠が歌い出した

「オー、ポッター、いやなやつだー、いったいおまえはなにをしたー、おまえは生徒を皆殺し♪」

「お黙りなさい、ピーブス」

マクゴナガルが一喝した

結局ハリーはマクゴナガルに連れていかれ、わたしはぽつんと廊下に残された

大失敗だ

瞬く間にハリーがわたしを殺そうとしたという噂が流れるに決まっている

黒い影がわたしの前にしゃがみ込んだ

「風邪をひくぞ」

「せ…先生…」

唇を噛んで我慢する

なんでこういつも人が弱ってる時に来てくれるかな

「ほう、泣かないのか…いつもならとっくに泣いておろう」

皮肉だが優しい響きに唇が震えてしまうのが悔しくて、わたしはスッと立つとセブルスを突き飛ばし走り出した

「嶋本!」


セブルスの呼ぶ声が耳に残った




スネイプは突き飛ばされた胸の辺りを押さえた

「無事で良かったと…言うつもりだったんだがな…」

凍えるような隙間風が吹き込む廊下でポツリと呟く

彼女から目を離してはいけない

明るく能天気なようで、深い憂いを湛えた瞳

その憂いは日に日に深くなるようにスネイプは感じていた

特に今学期に入ってからだ

なにがそんなに彼女を苦しませているというのか

あの力を使わせない約束か

連続して起こる襲撃事件について、重要ななにかを知っているか

はたまたあの一々気に障るロックハートか

スネイプは、全て当てはまる気がしていた

夏休みが明けて、心を閉ざされたようでスネイプは心中穏やかではない

互いに信頼はしていても、どこかなぎはスネイプだけとではなく、他人と一線を引いている

教室で、広間で観察 ー監視はダンブルドアの命令ではあるがー していても、それを感じる

一人の教師として、特定の生徒を想うのは過ちだ

だが、それ以上のなにかがある気がしてスネイプは走り去るなぎの背中から目を離せない


「ロリコンさんかの?」

曲がり角で顔だけ出したダンブルドアが恐る恐るこっちを見ていた

「キャッ、セブルスこわーい」

ダンブルドアはパタパタと走り去った

スネイプは走り去るダンブルドアの背中からはあっさりと目を離す

スネイプは既に何度目かのため息をついた

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