Chamber of Secrets
□38条
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ホグワーツはすっかり寒くなり、ここのところ外は一面の銀世界である
「こなぁあああゆきぃいいい!ねぇえ心までぇし」
「うるさいわよ!大吹雪じゃないの!」
気分よく熱唱していると、ロンと魔法のチェスをしながらハーマイオニーが叫んだ
「突然の休講ほど嬉しいものはなくてさ!」
陽気なわたしと裏腹にハリーは苛々と暖炉の前を行ったり来たりしている
今度はハー子がハリーに向かって言った
「ハリー、お願いよ。そんなに気になるんだったら、こっちからジャスティンを探しに行けばいいじゃない」
ロンのビショップがハー子のナイトを馬から引きずり降ろした
「一緒に行こうか?」
「いらない」
「ハリーにフラれた…」
「いつものことじゃない」
ハー子まで冷たく言った
ロンが肩をすくめた
「なぎもたまには大人しくするってことを覚えたほうがいいよ」
チェス盤から目も上げずにロンが言った
ハリーは肖像画の穴から外へ出てしまった
「やっぱり心配だなぁ」
「大丈夫よ、ジャスティンとのことすっきりさせておいたほうがいいじゃない」
「そうさ、決闘クラブのせいでハリーは一晩苛々してたんだから」
ロンも加勢した
「見守るしかできないのかな、わたしたち」
灰色の雪が窓の外で渦巻いている
見守るということは手を出すより難しい
危なくなったらダイヤモンドの力を使うことも辞さないけれど、それにはセブルスの許可がいるし、そもそもタイミングの見極めが困難だ
クリスマス残らないでリーマスとのんびり過ごすべきだったのだろうか
しかしそれも無責任な気がしてならない
…無責任?
なにに対しての無責任だろう
未来を知っていることの責任?
力がある故の責任?
セブルスとの約束?
それともリーマスとの約束?
「出家しようかな…」
「なにそれ?」
「俗世のしがらみから離れ山に篭ることだよ、ロナルド・ウィーズリー…」
「あー…なぎ、大丈夫?いつにも増して…」
ロンがチェス盤から顔を上げた
「いつにも増して可愛い?いつにも増して魅力的?いつにも増して…」
ロンが顔をしかめた
「いつも通りだった」
手元の教科書でロンの頭を叩いた
変身術の教科書だ
「ハリー迎えに行ってくるよ、次変身術だし遅れたらやばい」
「たぶん、図書館じゃないかしら」
ハーマイオニーがナイトをつまみ上げながら言った
「行ってみるよ」
「オッケー、また後でね」
わたしは冷え冷えとした廊下に出た
これが失敗だったのだ
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