Chamber of Secrets

□37条
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「宿題です、ワガワガの狼男が私に敗北したことについての詩を書くこと!」

終業のベルが鳴り、ロックハートが立ち上がった

ポエムですって

五七五でもいいのかしら

かえりたひ
嗚呼かえりたひ
かえりたひ

わたしは教科書を閉じながらため息をついた

確実にロックハートの授業はハリーとわたしのHPをえぐり取っている

狼男役をやらされたハリーもくしゃっとした黒髪をわしわしと撫でつけていた

ちなみにわたしは村娘Aの役を演じさせられた

誠に遺憾である

「あの…ロックハート先生」

肩を落としたハリーと対照的にハーマイオニーは恋する乙女だ

「私、図書館からこの本を参考に借りたいんです。あの、読むだけです。」

ハー子が紙を差し出した。

「問題はこれが禁書の棚にあって、それで…どなたか先生にサインをいただかないといけないんです。先生のグールお化けとのクールな散策に出てくる毒薬を理解するのに役立つと思います…」

ハリーとロン、そしてわたしは後ろで神妙な顔をして立っている

ロックハートはハー子ににっこりと笑いかけた

「私の一番のお気に入りの本と言えるかもしれない。おもしろかった?」

「はい!」

ハーマイオニーの愛が込められているのをわたしは後ろで感じた

ヤダ羨ましい

「そうですね、学年の最優秀生徒をちょっと応援してあげてもいいでしょう」

ロックハートは馬鹿みたいにふわふわと長い孔雀の羽根ペンを取り出してサインした

「なぎもサインがほしいのかい?」

「遠慮します」

「今日もつれないね、そんなところも可愛らしいですよ」

「わたしは釣れる女ですよ、今度中庭の大イカを釣ってご覧いれましょう」

ロンとハリーはぶっと吹き出したが、ハー子が肘でわたしのおなかを小突いた

「で、ハリー。明日はシーズン最初の試合だね?」

大イカは華麗にスルーされてハリーに矛先が向いた

こうしてなんなく四人はサインを手に入れたのだった

「信じられないよ、僕たちがなんの本を借りるのか見なかった」

図書館に向かって早歩きしながらハリーが言った

「だってあいつ、能無しだもの。どうでもいいけど、僕たちは欲しいものを手に入れたんだし」

ロンが言った

「能無しなんかじゃないわ!」

ハーマイオニーが抗議した

「ポエムが宿題だけどね」

ハー子が今度はわたしを睨んだ


マダム・ピンスは疑わしそうにサインを何度もチェックしたが、結局カビ臭い汚い本を持ってきた

そしてその五分後には、例のマートルのトイレに四人で立てこもっていたのだった

別にマートルのトイレではないんだけど

湿って染みだらけのページをハー子がめくる

「この本の挿絵…胸が悪くなる…」

体の内側と外側がひっくり返った人の図や頭から腕が何本も生えている魔女のイラストが描いてある

ハリーとロンも顔をしかめている

「あったわ」

ハーマイオニーは興奮した顔でページを指差した

「なんか変身してる人の顔が明らかに苦痛に歪んでるだけど」

「気のせいよ」

ハーマイオニーが冷たく言った

「こんな複雑な魔法薬ははじめてだわ!」

スネイプ少年がわたしに教えてくれた魔法薬の知識がまた役にたちそうだ

「二角獣の角の粉末と毒ツルヘビの皮の千切りはスネイプ教授の保管庫から盗まなくちゃいけないね」

「そうね…あと変身したい相手の一部も手に入れなきゃ」

「なんだって?どういう意味?」

ロンが鋭く聞いた

「最後に入れればいいんだからそれはまだ心配しなくていいわ…」

「ハーマイオニー、どんなにいろいろ盗まなきゃならないか、わかってる?スネイプの個人用保管庫に盗みに入るの?うまくいかないよ…」

ハリーが言った

「スネイプの保管庫ならなぎが気を引いてくれてる間に簡単にとってこれるわよ」

「ぇえぇええ?無理だよ!それわたしぶっ殺されるよ!」

ハーマイオニーは本を閉じてわたしたち三人を睨みつけた

「そう、みんな怖気づいてやめるって言うなら結構よ」

ハーマイオニーが頬を赤くして言った

「僕たちに規則をやぶれって君が説教する日がこようとは思わなかったぜ」

ロンが呟いた

「あとは、野となれ山となれって言うじゃない。ロン諦めろ」

「わかった、やるよ。だけど足の爪だけは勘弁してくれ、いいかい?」

「でも作るのにどれくらいかかるの?」

「そうね…だいたい一ヶ月かしら」

「一ヶ月も?マルフォイは、その間に学校中のマグル生まれの半分を襲ってしまうよ」

ロンが言った途端、ハー子の目がつり上がってきたのでわたしはロンの足を踏みつけた

「いまのところ、それがベストの計画だな、全速前進だ」

ロンが慌てて言った

「Eng. full ahead!」

ポリジュース薬の製作が原作通り開始された

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