Chamber of Secrets

□36条
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「そこがジャーマンポテトの浅はかさよのォオオ!」

廊下の角をターンしながらダンブルドアが現れた

「どうじゃ?この新しい決め台詞」

「うっざい」

「アーガスに見せた不思議な踊りを儂に教えておくれ」

「え、ヤダ」

どうやらムーンウォークの風がホグワーツを席巻しそうだ

「いやじゃ!いやじゃいやじゃいじゃ!教えるんじゃぁあぁ」

ダンブルドアと最近接していなかったため、免疫が落ちたのか、ダンブルドアのかわし方を忘れてしまった

「儂も踊りたいんじゃぁあ!それでボリジョイバレエに入るんじゃぁぁあ」

「これじゃ入れねーよ!」

お陰でダンブルドアはわたしの足にすがりつきながら夕食の席にまでついてきた

「なぎ、教えて上げなさいよ…さっきからうるさくて仕方ないわ!」

ハーマイオニーが分厚い本をテーブルにばんと置いたので食器が音を立てた

「さすがグレンジャー!グリフィンドールに2点!」

「私利私欲にまみれた点数だな」



「まったく、かわいい子ですよね」

隣で食事をするロックハートが言った

ロックハートは嶋本がダンブルドアにとりつかれているのを眺めている

「……そういう、ご趣味ですかな」

元気そうな嶋本を見て安心していたところにこいつの趣味を暴露されたので不愉快だ

「老人趣味とは、たくさんのファンが泣きますぞ」

ロックハートがきょとんとし、笑いだした

妙に白い歯が目につく

「なぎ・嶋本ですよ!」

フォークを取り落とした

ガチャンという音に何人かがこちらを見た気がする

「あなたのお気に入りになるのもわかります」

腹の上のあたりが急にざわざわとしてロックハートを殴り飛ばしたい衝動に駆られる

「不思議な魅力がある…勝ち気な中に見せる弱さ」

「ただの生徒にお気に入りなどと…そんなふざけたことはせん」

思わず声を荒くしてしまった

「ならば好都合です」

ロックハートがにっこりと微笑む

「なぎをわたしのものにしたい」

「たわげたことを!」

立ち上がった拍子に椅子が倒れた

「生徒に対してそのようなこと…ホグワーツは許しませんぞ」

そのとき生徒の席で爆風が起こり悲鳴があがった

どうやらダンブルドアが癇癪を起こしたらしい

ロックハートが立ち上がりわたしが動くより早く生徒席に駆け寄った

「喧嘩はよくありませんよ」

「これが喧嘩に見えますか?!」

嶋本の制服は焼け焦げ、犯人はそっぽを向きわざとらしく口笛をぴーぴーと吹いている

「どう見ても校長の一方的な攻撃ですなぁ」

嶋本が安心したような顔をした

「芋が悪いんじゃ!芋が…」

「問答無用」

「今度こそ焼き芋にしてやるからのぉおお」

「不愉快な捨て台詞だなこのやろ」

「焼き芋ってなによ」

グレンジャーが肩をすくめた

ダンブルドアを追い払う間にロックハートは嶋本との距離を狭めていた

「なぎ!騒ぎの中心にはいつも君がいるね」

「ダンブルドアがいるの間違いです先生」

嶋本がさりげなくわたしの背中に隠れながら言った

この行動がなぜかわたしの心を満たした

「でも、わたしが助けに来てくれて嬉しそうな顔をしたことを見落としてはいませんよ!」

ロックハートが厚かましく嶋本に背丈を合わせるように屈んで言い放った

「聞いちゃいねぇ…」

嶋本が背後で呟いた

「そんな格好では困るでしょう、わたしのローブを…」

ロックハートは羽織っていたローブを脱ぎ嶋本に被せようとした

「きょ、教授…」

それよりも早く、そして考えるよりも早く自分の着ていたローブを嶋本に頭から被せた

ぶかぶかなローブを困り顔で見つめわたしを見上げた

白い肌が黒いローブで妙に艶かしく見える

「さっさと寮にもどりたまえ」

「あ、ありがとうございます」

はにかみ頬を染めた

「寮までわたしが送りましょう」

ロックハートが大袈裟な身ぶりで入り口を指した

女子生徒から不愉快な高い声が上がり、嶋本は一難去ってまた一難というような顔をした

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