Chamber of Secrets

□33条
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「嶋本!誰がコガネムシを爆発させろと言いましたか?」

「断じて爆発"させた"のではありません、コガネくんが"何故か"手榴弾に変身して自爆したんです!」

教室にくすくす笑いが起こる

「コガネくん自分で安全ピン抜いてましたもん!!」

「グリフィンドール2点減点です」

「そんな理不尽な…」

「手榴弾にされたコガネムシのほうが理不尽な気持ちだったでしょうね」

「ごもっともです」

ダイヤモンドの力を全く使わずコガネムシをボタンにしようとしたらこれである

今学期はどうやら最下位争いになりそうだ

「先生、ハーマイオニーのボタン見てください、完璧ですよ」

ハーマイオニーのコガネムシは黒いコートのボタンに変身している

マクゴナガル先生はまじまじと観察した

「…グリフィンドールに2点、嶋本、これで帳消しなどと思わないように」

「はーい…」

わたしは新しくもらったコガネムシ2号を杖でつついた

その隣でロンの杖からは硫黄臭い煙を噴出させている

「あ、ロン肘」

コガネムシをぺしゃんこにしている

「もうなんなのですか、あなたたちときたら!」

誰の責任か分からないがマクゴナガル先生はご立腹だ

結局コガネムシはコガネムシのまま授業が終わってしまった

「こいつめ…役立たず…チクショー」

ロンが杖をばしばしと机に叩きつけている

「家に手紙を書いて別なのを送ってもらえば?」

「そんなことしたらまた吼えメールさ」

ロンの杖がぽんぽんと火花を散らした

「ご飯行こうよ」

お腹がすいた

「君はなんでめげないんだ?」

ロンが呆れたように言った

「なんでめげるの?」

大広間に移動中、双子にすれ違った

「やぁプリンセス!」

「コガネムシを手榴弾にしたんだって?」

「なんて噂のまわるのが早い」

「「流石だね!」」

奴等はわたしの肩をとん、と叩くとどこかに行ってしまった

絶句しているとハリーがわたしの好きなカシスジュースをわざわざ取ってきてくれた

「ありがとう」

ちらりと見ると教職員の席はがらがらだ

よーし、先生たちの間にまで噂は広がらないぞ

「嶋本!授業中に爆弾を製造するなんていけませんよ」

後ろからキーキー声が聞こえ振り返るとフリットウィック先生が去るところだった

何故か噂がひとり歩きし、爆弾魔に仕立てあげられている

「見てよ、こんなにボタンに出来たのよ」

ハーマイオニーは得意気に先程のボタンをいくつも机に広げた

よーく考えると手榴弾つくるほうが難しい気がする

それを見たロンの機嫌がますます悪くなった

「午後の授業はなんだっけ?」

ハリーが雰囲気が悪くなったのを察知し話題を変えた

「闇の魔術に対する防衛術よ」

「君、ロックハートの授業を全部小さいハートで囲んであるけど、どうして?」

ロンがはー子の時間割りをつまみ上げた

「わたしお腹痛くなってきたから次の授業さぼ―…休もうかな」

その瞬間後ろから頭を押さえつけられた

「ぎゃ」

「それ以上減点されてどうするつもりだね?」

ねっとりとした声が降ってきた

「今日はまだ2点です」

突然頭は軽くなった

振り向くとまたもセブルスである

「廊下でお前が"変身術の授業で爆弾を投げて遊んだ"という話題でもちきりですぞ…少しは恥ずかしいと思え、馬鹿者!」

吐き捨てるように言い、すたすたと行ってしまった

ちょっと待ってよ、言い訳くらい聞いてくれてもいいじゃないの

それに授業に出れば出るほど墓穴を掘るんだから仕方ないじゃないか!

「爆弾でジャグリングでもしようか」

そんなこんなで優雅に―…とは程遠いが昼食終え、四人で中庭に出た

ハーマイオニーはロックハートの"バンパイアとバッチリ船旅"を読んでいる

一方、ハリーとロンはクディッチの話に夢中だ

心境のような曇天を仰ぎ見る





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