Philosopher's Stone

□6条
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なぎは朝から悲惨な目に遭っていた

正しくは夜からその状態が続いていた


「なぎ?もう11時だよ?
具合でも悪いのかい?
入るよ―「ま、待ってリーマス!」」

「どうしたんだい?」

ドア越しにリーマスが心配そうに問いかける

「えっと、えっと…なんか風邪ひいちゃったみたいだから
2、3日部屋に籠りますので、リーマスにうつると嫌なので、はい」


「それなら余計に部屋に入らせてもらうよ」

作戦Aはあえなく失敗

「待って待って!
はい、今のうっそー!超元気だけど、あの、その布団から出れない病で」

「なら私が治してあげるよ」

ドアノブが音を立てて回り、リーマスが部屋に入ってきた

私は慌てて布団をかぶって頭を隠した

見られたらまずい

見られたらまずい!

「なぎ」

ちらりと上目遣いでリーマスを見る

もちろん頭を隠している状態なので視界がわるい

リーマスはベッドの縁に腰かけて私の顔を覗き込んだ

私は恥ずかしくなって布団に潜った

「ほ、ほら!元気そうでしょ!」

布団に潜ったまま言う


「顔をだしてくれないかな?」

「……」

突然リーマスは私の布団に潜り込んできた

「うわっ(大胆…嬉しいけど)」

慌てて頭を押さえる

「うわっ…て酷いなあ」

布団の中で目が合う

リーマスは私のおでこに手をあてた

「熱はないね」

リーマスの真剣な顔が近い

「だから大丈夫だっていったでしょ!」

「声が大丈夫そうじゃなかったよ」

「え?」

「あんまり見くびらないで欲しいな、もう君と4ヶ月も一緒に暮らしてるんだよ?」

「そういえば3ヶ月点検来ないねー課長忘れてるのかな」


「本当だね、― 話を反らさないで!」

「……」

困った困った困った

ふたりの体温で布団の中は息苦しくなってきた

酸欠になる前に第2回ヒトリ脳内会談をひらこう、そうしよう

只今から第2回脳内会談を―

頭の中のアナウンスはリーマスが布団を剥ぎ取ったことで遮られた

「ふー暑かった」

慌てて頭を押さえ直し見えないように隠す

「ちょっちょっとリーマス!」

「手を外しなさい」

「…怒らない…?」


「そんなことを心配してたのか」

リーマスは驚いた

「私が君に理由も聞かずに怒ったことがあった?」

「…ない」

リーマスは微笑んだ

私は黙って手を下げた


リーマスが目を見張った

私の頭には昨夜から耳が生えているのだよ、ワトソン君

何故ならアニメーガスにちょっとばかし失敗しちゃったからだよ、ワトソン君、助けてくれよワトソン君

「それは……本物かい?」

私は黙って耳をピクピク動かした

「なんの耳だい?」

「こっちが知りたいよ〜」

つい情けない声をだしてしまった

リーマスがいきなり耳を引っ張った

「痛い!」

「あ、ごめんごめん。つい引っ張りたくなっちゃって」

なんだそりゃ

「猫の耳より大きいし…」

私の頭に生えた耳は白、黒で縁取りされており
耳介の先端には黒い毛が伸長している

黒く明瞭な斑紋が点在するため全体としては灰色がかっている


「雑食動物の耳であることは確かだけど」


「え?」


「ほら、純粋な肉食動物って耳が丸いだろう?
ライオンとかチーターとかさ、トラとかって。
尖ってるのは雑食なんだよ」


クマはどうなんだ、
主食は鮭と蜂蜜(←重要)だろう


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