Chamber of Secrets

□34条
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土曜日の朝

起きるとハーマイオニーのベッドは既にもぬけの殻になっていた

3分ほどぼんやりしてからやっと声を出すことが出来た

「ねえ、はー子は?」

起きて髪をすいているラベンダーに尋ねると呆れた顔をされた

「あなたのこと何度も起こしてたわよ…なーんにも覚えてないの?」

「なーんにも覚えてない!」

「30分くらい前かしらね、早く行ったほうがいいわよ」

「うん、そうする…ありがと!」

わたしは部屋を飛び出した

「ちょっとなぎ、せめて顔くらい洗ってから行きなさいよ!」

ラベンダーもお母さんのようだ

談話室には生徒がぽつりぽつりといた

「なぎおは―「シェーマス!ロン知らない?」」

「少し前にハーマイオニーと出ていったよ」

挨拶を遮られたシェーマスは少し唇をとがらさて答えた

「ハリーが朝早くからウッドに起こされてたよ、クィディッチの練習じゃないかな」

「うあー!完全に置いてけぼりだよチクショー!」

「一緒に朝ごはん行かない?」

わたしが頭を掻きむしっていると、唐突にシェーマスが言った

「いいよ、置いてかれちゃったし…こうなったら優雅にフル・ブレックファストを堪能するよ」

「じゃあ行こう」

二人で大広間にむかう

シェーマスとはハリーやロンたちとほど話さないから新鮮だ

生徒たちはテーブルのあちらこちらでいつもより遅めの朝食を楽しんでいる

二人で並んで真ん中あたりに腰かけた

「あー…ご飯が食べたい」

わたしは牛乳に浸されたポリッジを食べながら言った

「イギリスの朝ごはん嫌いじゃないけど油っぽすぎるよ」

「そのわりにいつもたくさん食べてるね」

シェーマスは苦笑いしながら言った

「だってお腹はすくんだもん」

「ブラックプディングいる?」

「遠慮しとく…それ苦手なんだ」

「おいしいのに」

シェーマスはブラックプディングを山盛りにしながら言った

「ベイクドビーンズはわりと好きだよ」

「子供はみんな好きって言うよね」

シェーマスにもお子様扱いされたようだ

最近忘れかけてるけど中身は18、19歳のはずだ

「こんなに脂っぽいの食べてるとラードになっちゃうよ」

カリカリのベーコンをかじる

「フルーツどう?」

シェーマスが気をきかせてフルーツの入ったボウルを取ってくれた

「ありがとう!」

マスカットやキウイを取り分けているとまだ眠そうなネビルが隣にやってきた

「なぎはハリーたちのところに行かなくていいの?」

「だって置いてかれちゃったんだもん!」

「あなたが起きなかったのよ」

ラベンダーとバーパティも向かいの席にやってきた

「わかったよ!今すぐ行くよ!」

オレンジジュースを一気飲みし立ち上がる

みんな最近わたしの扱いひどいんじゃないか

減点なんとかとか呼ぶし!

「シェーマス、じゃあまたね」

「あ、うん」

シェーマスが肩をすくめるのを目の端で見、競技場のほうへ向かった


競技場に着いたが、なんだか間の悪いときにきてしまったようだ

スリザリンチームとグリフィンドールチームが睨みあっている

「えーと…何事?」

ロンとはー子の後ろから前を覗き込んだ

マルフォイが得意気にスリザリンのクィディッチローブを着ている

「ウィーズリー、僕はスリザリンの新しいシーカーだ」

「わーお、ニンバス2001」

わたしの間抜けな声にマルフォイは更に満足げだ

「いいだろう?グリフィンドールも資金集めして新しい箒を買えばいい。クリーンスイープ5号をチャリティの競売にかければ博物館が買いを入れるだろ」

スリザリンチームが大爆笑した

「今のおもしろかった?」

ロンが戦意の削がれたような顔でわたしを見た

「グリフィンドールの選手はだれ一人お金て選ばれたりしていないわ!純粋に才能で選手になったのよ」

ハーマイオニーがきっぱりと言った

「だれもおまえたちの意見なんか求めてない!生まれ損ないの穢れた血め」

マルフォイがわたしとはー子を見て吐き捨てるように言った

"穢れた血"という言葉が、最後にシリウスやリーマス、リリー、そしてセブルスとの中庭での事件を鮮やかに思い出させた

「その言葉は使わないほうがいいよ」

わたしの呟きはフレッドやジョージ、アリシアたちの叫び声に掻き消された

「マルフォイ、思い知れ!」

隣のロンがいつの間にか杖を突きつけていた

「ロンのバカ!」

逆噴射した杖の赤い光線は防ぐ間も無く、ロンのお腹に当たった

「ロン!ロン!大丈夫?」

ハーマイオニーが悲鳴をあげた

ロンが口を開くとナメクジかぼとぼととこぼれ落ちた

「おかしな呪いかけて…」

スリザリンチームは大喜びで笑っている

「オーキデウス」

気がついたら頭より先に行動していた

マルフォイの持つニンバスから色とりどりの花が咲き乱れた

「ドラコお坊っちゃまは随分ファンシーな箒をお持ちね!」

グリフィンドールチームからくすくす笑いが沸いた

「ざまぁみろ!」

ロンがナメクジを飛ばしながら言った

マルフォイはむしってもむしっても花が咲く箒に戸惑っている

その隙にロンをハリーとはー子が助け起こした

「ハグリットのところに連れていこう、一番近いし」

ハリーがそう言ったとき、いつぞやのコリンがスタンドから駆け下りてきた

「ハリー、どしたの?おわぁー」

ロンがまたナメクジを吐き出した

「コリンそこをどいて!」

流石にハリーが怒って言った

「もうすぐよ、ロン」

はー子が心配そうにロンの背中をさすった

先頭を小走りで進むと小屋の扉が開いた

「ハグリ―」

言いかけ慌てて口をつぐんだ

「こっちに隠れて!ロックハートがでた!」

横の茂みにハリーたちを引きずり込んだ

はー子はしぶしぶ茂みに隠れた

「先生をまるでお化けみたいに!」



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