Chamber of Secrets

□33条
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温室の前には女の子たちがたまっている

「どうしたの?」

聞いたと同時にスプラウト先生とロックハートがやってくるのが見えた

「なるほど」

腕いっぱいに包帯を抱えたスプラウト先生は不機嫌そうだ

それと裏腹にロックハートはエスニックなブルーのローブをなびかせ、爽やかに生徒に笑いかけた

「やぁ、みなさん!」

わたしはついさっきの出来事を思い出し、ロンとハリーの後ろに隠れた

こいつわたしを吹っ飛ばしたあとスプラウト先生にも迷惑を掛けていたのか

素晴らしい性格だ

「スプラウト先生に、暴れ柳の正しい治療法をお見せしていましてね。でも私のほうが先生より薬草学の知識があるなんて誤解されては困りますよ」

ロンと顔を見合わせ二人して下顎を突き出す

「深海魚の出会い」

ナレーションを付けたらハリーが吹き出した

「たまたま、旅の途中に暴れ柳というエキゾチックな植物に出会ったことがあるだけですから…」

「今日は三号温室へ!」

スプラウト先生がロックハートを無視して呼び掛けた

「三号温室は初めてだね」

「もっと危険な植物があるのよ」

はー子が言った

危険と聞いてわくわくしてきた

温室に入ると湿った土の臭いが鼻をついた

「ハリー!君と話がある―スプラウト先生、彼が少し遅れてもお気になさいませんね?」

ハリーがあっと言う間にロックハートに拉致された

「ハリーも大変だね」

「あのでっかい花なんだろう」

ハリーが拉致されたのもなんのその、ロンが天井からぶら下がる巨大な花を指差した

「頭入れてみてよ、食人植物かもしれない」

ロンの頭を鷲掴みにし花へもっていく

「まっぴらごめんだよ!なんでそんなに目を輝かせてるのさ」

「暴れるな!学問的好奇心のないやつめ」

「君の好奇心を満たすために食いちぎられてたまるもんか」

このやり取りを聞いていたはー子が眉をしかめ言った

「成長してないわね」

ロンと再び下顎を突きだしあっておく


温室の真ん中に設置されたベンチに集められた

ベンチの上には紫がかった緑の植物がならんでいる

「にんじん?」

スプラウト先生がこちらを睨んだ

「冗談です」

ロンが減点プリンセスと呟いたのが聞こえた

「聞こえたぞ」

ロンは鼻唄を歌いながらそっぽを向いた

あとで泣かす

やっとハリーが戻ってきて授業が開始された

「今日はマンドレイクの植え替えをやります、マンドレイクの特徴がわかる人はいますか?」

恐らくみんなの予想通りであるが、はー子の手がぴんと挙がった


わたしはロンとネビルとシェーマスと組んだ

ハリーとハーマイオニーはハッフルパフの男の子たちと組んでいる

なにやらハリーとハッフルパフの男の子はこちらを見て喋っており、わたしとロンのことを紹介しているようだ

余計なこと言うなよと怨念を送っておこう

シェーマスがこちらをちらちらと見てくる

「なに?」

「…なんでもないよ」

腑に落ちなかったが、耳当てをつけて作業に入った

誰もマンドレイクを引き抜こうとしないのでわたしが男らしく鉢から抜いた

「うぇえ…かわいくない」

すごい力でじたばたしている

薄緑色でまだらの赤ん坊をロンに押し付けた

ロンがなにか言っているようだが耳当てのおかげでなにも聞こえない

マンドレイクは長い触手をうねうねさせている

シェーマスが鉢を押さえ、ロンとわたしがマンドレイクを植えなおそうとしたが、大暴れし10分以上かかってしまった

授業が終わったときにはみな泥だらけでげんなりしていた

「新学期の最初の授業から泥んこなんて」

ロンが肩をすくめる

「早くしないと変身術の授業に間に合わないよ」

ハリーが急いで泥を落としている

「体育水泳のあとの数学の気分」

呟いたらロンがすかさず拾ってきた

「数学ってなんだい」

「ねむたくなるやつ」

「そっか、なぎもマグル出身だもんね」

ハリーがふと思い出したように言った

「居眠りしちゃダメよ」

「…頑張るよ、ハー子」


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