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□薬
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「ただの風邪で安心したぜよ」
病院から戻りベットに潜り込む私に冷えピタを貼ってくれる
「だから大丈夫って言ったのに…」
「でもこんなに沢山薬出たって事は、酷い風邪っちゅう事なり」
そう…
病院行ったら痛み止だ解熱剤だって数種類出された薬の束…
「……飲みたくないなぁ」
あの、薬を飲んだ後の後味や喉の異物感がスッゴク嫌
「名前」
ベットに腰かけていた仁王が、わがままを言う子供をなだめるような目で私を見る
「飲みんしゃい」
上半身だけをお越し、両手に薬とﾐﾈﾗﾙｳｫｰﾀｰを握る
「ぅﾞ―…」
飲まなきゃ治んないのも分かってる
けど、嫌なものは嫌!!
「……はぁ」
いつまでも渋ってる私の手から薬と水を奪い自分の口に入れる仁王
「え？なっ、ん!!」
何で仁王が？って言おうとした瞬間口を覆われて…
「ん―っ!!」
仁王とのキスは好き
好きだけど!!!
「っ、にっが―!!」
「まだ有るぜよ」
そう言ってまた、口に薬と水を含む仁王から逃げるように後退するけどあっさり捕まえられて
「っ!!!」
また、無理矢理飲まされる
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「んんっ…はぁ」
口に含まれた薬が私の喉を通っていく
苦くて苦くて…
大嫌いな薬
だけど
こんなに嫌いなのに
飲み終えた後の仁王のキスが優しくて
甘くて
「頑張ったのぅ」
「……意地悪」
優しく微笑む仁王から目をそらす
「こんなに優しくしとるのに、酷い言葉ぜよ」
「だって…恥ずかしい」
口移しとか、漫画だけだと思ってたのに
まさか自分がするなんてっ
「名前の顔真っ赤じゃ…」
「っ、誰のせい…っ」
顔が赤いのは熱のせいだけじゃ無い
と、思う
「ふぅ…んっ」
大嫌いな薬を飲んだ後
こんなに甘い思いが出来るなら
頑張ってみようかな…なんて
「名前？」
優しく頭を撫でてくれる手が嬉しくて私からすり寄る
「大好きじゃ」
「なっ//」
「だから、風邪なんか早く治しんしゃい」
「仁王……うん」
ぎゅうっと抱きしめてくれる仁王の体温を感じながら私は深い深い眠りについたんだ
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