孤独者+幸せ者=
□sixth.君
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目の前の砂山が消えた
消えたというよりも、他人によって潰されたと言った方がいいかもしれない
「僕ちゃーん、こんなとこで何やってんの〜??」
目の前にある潰された砂山の残骸から目を外し顔をあげると、人の柄の悪い男がいた。見た目からいって中学生くらいだろうか
「今俺達が遊んでんだから、邪魔なんだよ。さっさと帰れ」
「お前、それはひでぇーって、」
「そんなこと言うと餓鬼泣くって」
冗談くさい台詞を吐き捨て笑う。そんな男達を僕は、ただ静かに見ていた
「なんだよ、コイツ睨んでくんだけど」
「文句あんなら直接口で言えってんだよ」
男達から目を離し、すぐ下にある男の足によって潰された砂山の残骸を見た
無残にも目の前で潰された砂山
どうせ、最後には壊してしまう砂山。
だけど、何故だろう。胸の奥になにかが暴れ狂っているかなように息苦しい
一体、何なんだっていうんだ。
訳のわからない苦しさに僕はぐっと、下唇を噛み締めた。
妙に、男達に対して憎たらしさを感じた
また、顔をあげて男達を見た
次の瞬間目に映る景色ががらりと変わった。そこでやっと僕は男達に蹴られたということ事がわかった
「ぅぐ、ッ」
くぐもった声が口からでた
蹴られたそのままの勢いで地面を転がった。上の方で笑い声が聞こえた
痛い、痛いよ…
僕も皆と同じで痛いのは嫌。苦しいのも、辛いのも嫌なのに
まるで蹴って当たり前かのような態度をとる男達。それをみると、またあの息苦しさが僕を襲った
くだらない。自分より弱い者を見下す事で優越感に浸る小心者だ
彼等はつまらなくはないのだろうか。あきないのだろうか。
「…ぐッ」
彼等は容赦無く蹴る。それは僕だからだろう
「ゲホッ、ゲホッ…」
普通の子供なら守る者がいるだろうが、僕は違う。誰からも嫌われ、必要性のない僕は彼等にとって都合の良いストレス発散道具なのだろう
僕のことを好んでくれる存在なんて…
『やめてっ!!!!!』
「「「「ッッ!!!」」」」
突然の登場人物に対して男達に動揺がはしる。ここにいる者の中で一番驚いたのは僕だった。
公園の入り口でコチラを睨みながら叫んでいるのは
君だった。
自分よりも強い相手に、君は怯えてた。体を震わせてた。
泣き出しそうな顔をしてた。