番外編

□綺麗な美人だったなら
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綺麗な美人





彼はちゃんと私を見てくれない


きっと、綺麗で繊細でスレンダーな美女だったなら見てくれたに違いないの。



私はただ貴方にたったの女として見てほしいだけなのです











『ライロムしゃまー、逃げないで下さいですぅ』



今日もまた、ライロムしゃまに猛アタックしているのです
いつか、ライロムしゃまに気づいていただけるように!


だけど、ライロムしゃまは私の顔を見ると苦虫を噛み潰した様な顔をして、ササッと逃げてしまうです






このあと起こることは予測ができる



私が急いで追い掛けても、そこにはもうライロムしゃまはいないという事


何度もこれと同じ事を繰り返している



そして逃げられてしまうのだが、それでも私は同じ事をしてしまうのです







でも、今日はいつもと違ってた






追い掛けたその先にライロムしゃまが居たのだから


『ライロムしゃまっ!!』

私はずっと追い掛けていたライロムしゃまが目の前にいるのが、嬉しくて嬉しくて堪らなかった




「…歌連」





だから、気づくことが出来なかった


ライロムしゃまが難しい顔をして私を見ていることに。





ライロムしゃまの薄く綺麗な唇が重そうに動きだす


そして、一番大好きな声で、一番聞きたくなかった言葉を私へと言い放った






『もう、俺に構うな。』






やっぱり、ライロムしゃまは私の事が嫌いなのだ


わかってる、わかってたよ。

ちびっ子で、色気なんて皆無そんな餓鬼は邪魔なだけ、いつか言われてしまうことぐらいわかってた


他から見れば子供の遊び恋愛
だけど、私にとっては本気の恋なのに




だから、


悲しかった

苦しかった

嘘だと思いたかった






突然視界が歪んだ



これじゃあ、大好きなライロムしゃまの顔が見えないよ


泣いてたら、泣き虫の子供だと思われちゃうですぅ


泣き止まなきゃ、これ以上ライロムしゃまを困らせたくないで、すぅ…


ほら、ライロムしゃま困った顔してる




突然、スッと視界が鮮明になった
それと同時に温かい雫が頬を伝った



『、…じゃあな。』


子供の私には、貴方の去っていく後ろ姿を見ていることしか出来なかったの
















綺麗な美人だったなら.

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