緋色の欠片

□綴る歌に想い込め
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「……昔のひとって、夢を特別なものだと、思っていたんですね」


「………? どういう意味だ?」


「だって、夢に好きな人が出てきたら、それは自分が相手に思われてるからって。……そう、捉えたなんて、とても素敵です」


「………なら、昔の意味で考えると、昨日お前の夢を見た俺は、それほどお前に思われているということになるな」



 ―――今、何と言われた? 振り返り、あわあわと口を開閉させ、薄く笑む恋人に、珠紀は開口一番叫んだ。


「な、何言ってるんですか?! いきなり、そんなこと!」


「……そう捉えてはいけないほど、お前は俺の事を想ってはいないのか?」


 落胆の色を見せた祐一に、珠紀は言いよどむ。
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