ワンドオブフォーチュンF
□Please strongly clench a hand before I injure you.
2ページ/7ページ
「エスト!」
振り返った途端いつものように飛びかかられ、半ば予想はしていたものの、エストは見事によろめいた。
「……っ!」
地表が固められたものでなく、あくまで自然のものだったゆえにそこまで痛みはなかったが、それでも痛いものは痛い。
「……っ、何するんですか!」
涙目で痛みを訴えるが、残念ながらまだ成長期を迎えていない姿は、あまりにも迫力に欠ける。
自らの体の上でうれしげに笑む少女の姿に、だんだんと溢れていた怒りが収束していく。
「……ルル。お願いですから退いてください」
「あ、そうよね。ごめんなさい」
その素直さはもっとも彼女のよいところではあるが、なら常日頃言っている注意をいい加減聞いてくれてもいいと思うのは自分だけか。