ワンドオブフォーチュンF

□掻き抱く温もりを
2ページ/7ページ


「……ル、ルル。体はなんともないのか…?」


「? ええ、平気よ。別になんとも―――」


 そう言ったルルの後ろで、突然悲鳴が上がった。驚いて口に放り込んでいたマカロンを飲み込んでしまって、噎せ返ったルルに、すかさずアルバロが手を伸ばす。


「ほら、ルルちゃん。飲み物もあるから落ち着いて」


「あ、ありがと、アルバロ…」


 げほげほと咳をしながら、アルバロから受け取ったそれを一気飲みする。遅れて、軽い眩暈と共に、ルルの体の底から熱いなにかが競りあがってきた。


「あ、れ…?」


「ルルッ!」


 悲鳴のようなふたりの声がどこか遠くで聞こえてくる気がした―――…。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ