ワンドオブフォーチュンF
□寂しさすら翳る笑みに
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裏山へたどり着いて、ラギは早々に寝入ってしまった。同時に暇を持て余すことになったルルは、彼の傍らで嘆息する。
「……今、触っても…駄目、かしら…」
彼との和解したものの、それでも寂しいことに変わりはない。触れてくれたあの夜が懐かしくなるほどに、彼の温もりが不足していた。
「……きっと、ラギだって同じこと思ってるもの…」
そう暗示かけるように呟かなければ、熱くなる目頭からあふれ出す涙を止められない。
「……大好きよ、ラギ…」
彼の気持ちは分かっているのに、それでも足りないと思ってしまう貪欲な自分が情けない。
「……本当に、大好きなの…」
「………だったら、そんな今にも泣き出しそうな声で言うんじゃねぇよ」
唐突に聞こえた声に目を瞬かせ、遅れて包まれるように温もりが感ぜられて、ルルは目を見開いた。