薄桜鬼
□語られる詩
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「………ごめんなさい、土方さん…」
仕事の合間を縫って、何とかこちらへやってきたのだろうと思うほどに憔悴した麗容な歳三に、申し訳なさが溢れて謝罪する。
「………気にするな。なろうと思ってなったわけじゃないんだろう」
嘆息し、歳三はゆっくりとした所作で自身を瞳に写す。物憂げな光を称えた瞳が、酷く申し訳なくなる。
「仕事溜まってるんだから、そろそろ出てったらどうです、土方さん」
「お、沖田さん…」
熱で赤くなった顔が、更に赤くなる。その少女の態度を見るたびに、酷く胸が痛み出す。
少し前、総司と千鶴は思いを通じ合った。それを知ったのは、翌日に総司が宣言したためである。
平助、一、左之助……と、幹部達の殆どはその事実に酷く涙した。
顔には出さなかったが、自分だって酷く動揺した。今まで触れることすら彼女を穢してしまう気がして、手が出せなかった自分に嫌気が差したのも事実。だから素直に落胆できる平助や新八が心底羨ましく思ったのも事実である。