薄桜鬼

□君への想いを捧ぐ代わりに贈る
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「………あの、斉藤さん」


 後ろから呼び止められ、振り返った一は気配を悟らずとも分かるその娘を視界に捕らえる。


「どうしたんだ」


「…後から、私の部屋に来て頂けませんか」


「………部屋に?」


 いきなりの千鶴からの頼みがそれとは、一体何なのか。訝しげな顔をすれば、それを察したのか千鶴は俯きながらたどたどしく言葉を続ける。


「…こっ、近藤さんが…たまには女子…として、一日、過ごしたいだろう、って仰られて…」


 一日、幹部の誰かと一緒にどこかに行ってもいいと仰られて、着物を下さったんです―――…。


「…わかった。では、お前を迎えに行こう」


「あ、ありがとうございます!」


 ―――というわけで、今に至るわけである。
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