オトメイト作品コラボ連載
□光の軌跡 / 邂逅せし戦士たち
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ふと、千鶴は空を仰いだ。その視界の隅に入った青い蝶に、千鶴の目は奪われる。
見たことのない種類だ。いったいあれはどんな名前の蝶なのだろう。
「……千鶴? どうかしたのか?」
「え? ……見たことのない蝶がいたから、やっぱり此処まで来ると違うものが見れるんだなって思って」
「ふーん…。ならさ、それ追いかけてみる?」
「え?!」
平助の突拍子もない言葉に、千鶴は目を見開く。確かに、あの蝶がなんなのかが気になるが、隊から離れたら、上司である土方に迷惑をかけるだけだ。
そのことに思い当たって、即座にその提案を却下しようとした矢先、楽しげに加わってきた声に身を硬直させた。
「面白そうだね。僕も混ぜて欲しいな」
「お、沖田さんっ!」
「……新撰国唯一の女武官が動揺するなんてらしくないね。大丈夫だよ、少しの間抜けたとしても」
「そうそう。要はばれなきゃいいんだから」
平助と総司の無謀な計画が破綻することは目に見えている。なぜなら二人とも新撰国の重鎮の護衛を担うほどの、一流の剣術を携えていて、その実力を見初められ、指揮官として動くことが多いのだ。
だが、すぐ向かってすぐ戻ればばれない、という安易な考えを持ったふたりに、おもわず頭痛を覚える。特に、平助はともかく総司は土方を怒らせることが趣味なのかと思うほど土方をからかうことが多い。―――彼が関わってきたら逃げることは許されない。
段々と進められていく計画に、千鶴は折れるしかなかった。