猛獣使いと王子様
□現在進行中で溺れてます
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エリク=マルトリッツ=ファザーン
「現在進行中で溺れてます」
「……あ、あのね、エリク」
「どうしたの?」
にっこりと微笑を零す恋人の顔を至近距離で見てしまったティアナは、照れ臭さと恥ずかしさで顔に熱が集まるのを止められない。
彼と再会してから、離れていた三年間を埋めるかのように彼が自分を傍に寄り添わせることが多くなっているのは間違いない。―――だけれども。
(……し、心臓に……悪いっ…)
あどけなさが取り払われ、凛々しさと格好良さの増した端正な顔立ちが眼前で艶やかな笑みを称えているのだ。これに動揺しない女性がいるのなら見てみたい。
「……す、すごく近い気がするんだけど……!」
「恋人同士だから寧ろ当然だと思うけど?」
にっこりと笑うエリクに、ティアナの顔が幾らか引き攣る。
当然と言った口調でさらりと口にした言葉は、聴いているだけで恥ずかしい。此処が公衆の面前だったら、ばったりと気絶しないでいられる自信が……あるといえないのがなんだか虚しい。
とりあえず距離をとろうとするものの、腰を引き寄せられている今、それは完全なる“無駄な抵抗”として終止符を打った。
「……本当、ティアナは可愛いよね。………このまま誰にも見られないところに閉じ込めておけないかな…」
……なにやら不穏な言葉が聞こえた気もしたが、ティアナは羞恥に耐えている今、それを頭に留め置く余裕がまるでなかった。
赤面して硬直するティアナに、エリクは満開の笑みを咲かせて、抱擁を強くする。
「とりあえず、後もうちょっとだけこうしていよっか?」
「えぇ?!」
嬉しいが、今にも沸騰して乱れそうな思考に、その宣告はある意味拷問に近い。気を失わないでいられるかどうか、怪しすぎる。
「……出来るだけ頑張って理性を保つけど、我慢できなくなったら、ごめんね?」
言われた言葉に、以前の出来事を思い出したティアナは更に熱が体中を止められず。
―――とうとう、ティアナの思考が考えることを拒絶した―――…。
+++あとがき
あはははは? 三回目の拍手も失敗になりましたよー。
もう書かないほうが利巧かもしれない。
甘々設定はエリティアでは暴走しやすいみたいです。
エスルルだとエストのツンツン度のおかげでなんとか自分の妄想爆発に加減が利くのに…。
……エリティアだとキャラ崩壊が酷いことに悩む管理人でしたー。