ワンドオブフォーチュンS

□ウルーウール
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「……ご、ごめんなさい。たくさん迷惑かけちゃって………」


「………いえ」


 長い間を空けての返答に、さらにしゅんとなるルルだが、エストはそれに気づいて眉をひそめる。


「………どうしたんです?」


「……………本当に、ごめんなさい」


「………あなたというひとは……」


 夕陽で紅に染まり行く景色の中、エストは言葉を紡ぐ。


「……いいですか。今更あなたに迷惑を掛けられることに関しては今更だと思っています」


「……う、うぅ………」


「ですが……あなたが僕ではない誰かを頼るのは、恋人としてはあまり許容できるものではありません」


「………え?」


 言われたことを理解するのに、幾らかの時間を要したルルは、それらの意味を汲み取って赤面する。


「……だから、あなたの迷惑くらい、多少なら我慢します」


 夕陽の景色の中では死人できないが、視線を泳がせるエストの様子からして、きっと彼は今、仄かに頬を染めているに違いないと思ったルルは、花が綻ぶような笑みで彼に抱きつき、明るい口調で舌に乗せた。


「―――エスト、大好きよっ」


 ―――それは、誰にも邪魔されない、幸せな時間の出来事―――…。






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