S.Y.K
□凍えてしまうから夜は一緒にね
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その日、中々起きてこない蘇芳に、金閣と銀閣はなんだか心配になって、蘇芳の部屋へと足を運んだ。
「蘇芳様? 起きてますかー?」
返答はない。まだ起きていないのか―――それとも。
「―――蘇芳様、入りますわよ」
押し開けた扉の向こうに、ただ熟睡している主がいれば問題はなかった。が。
よろよろと覇気の失せた顔で寝台から体を起こそうとしている彼を見て、二人は彼の身に何が起こったのか、正確に把握した。
「蘇芳様!」
慌てた声で駆け寄り、強制的に寝台へとその体を押し付けて。
「―――風邪を引いた時くらい、大人しくしてくださいな!」
―――――金閣はそう叱責した。