薄桜鬼
□春より冬
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薄桜鬼
藤堂平助.
「春より冬」
木々の幾つかは葉を落し、寂しげな雰囲気だけが漂う縁側ではなく、専ら囲炉裏の傍にいることが多くなる。
綿入れの衣を羽織り、寒さを凌いでいた平助は、同じように囲炉裏の傍に座る千鶴の方へと手を伸ばす。
引き寄せられ、見事に平助のかいた胡坐の上に横座りの体制にさせられて、千鶴は羞恥で顔を赤く染め、反射的に彼の衣をぎゅっと握った。
そんな彼女の仕草ひとつひとつが愛おしくて、平助は思わず抱きしめる腕に力を込める。
彼の胸に顔をうずめるような形になって、千鶴は顔を赤くするが、それでも突き放す気になれないのは、彼のことが好きだからというより他ない。
もちろん、彼がどうしてこのようなことをしたのかと言えば、寒くなると人肌が恋しくなるものだからだろう。人の温もりほど温かなものはない。
しかし、そんな考えを即座に忘れたくて、千鶴は何か話題がないかと必死で頭を回転させる。
「……も、もうすぐ雪が降るね、平助くん」
「そうだな」
「冬が早く終わって欲しいな、春に咲く、桜を早く見たいもの」
「…んー…俺は、冬が長く続いてもいいかな、って思うけどなぁ」
「え?」
どうしてだろうかと首を傾げれば、どこか楽しげな顔で、平助が口にする。
「どうしてって、そりゃあもちろん―――」
次いで放たれた言葉に、千鶴は羞恥で泣きそうな顔になってしまったのを見て、平助は慰めるように彼女の額に唇を寄せた。
『冬の季節は、寒い分あったまるためにこうしてくっついていられるから』
++++あとがき
これ総司に言わせたほうが良かったんじゃなかろうか、と思いながら書きました。えぇ、なんかいろいろごめんなさい。
というわけで、薄桜鬼一番お気に入りの平助くんです。
もう、なんかぐだぐだになりましたがご了承くださいませ。
引き続き他のオトメイト作品で公式ヒロインとCP小説を書かせていただきます。
でわw