薄桜鬼
□夢魘の渦に呑まれても
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いつからか、両手を血に塗れさせた。それを後悔するつもりはなかったはず。
けれど。
あなたに出会って、これほどまでに自分が穢れている事を嫌悪した―――…。
「山崎さんっ」
弾むような軽やかな口調で呼ばれた名に振り返り、息を弾ませた男装の少女が近づいてくる。
「あの、今お忙しいですか」
「………今のところは落ち着いていますが。何か不都合なことがありましたか?」
「……少し、お手伝いしていただきたいことがありまして」
そう言われて、特に今用事がないことを記憶を掘り起こして再確認した烝は、了解の意を示して彼女の後に続いた。